カーボンナノチューブでがんが生じたり治ったり??

以前、マウスへの腹腔内投与実験の結果をもとに、毎日新聞が「ナノチューブでがん」という見出しの記事を書き(2008年3月7日)、その話題は5月にNHKでも放送された。今度は「カーボンナノチューブでがん細胞を死滅」というニュースNHKがやっていた(2008年9月23日)。前のニュースを覚えている人がいたら「どっちやねん」とツッコミを入れていたかもしれない。今回のネタ元は産総研プレスリリースで、マウスでの実験をもとにしたもの。こちらはもっと具体的に「カーボンナノホーン」となっている。
医療用途ってベネフィットが見えやすいし、もともと副作用とのバランスで意思決定することが当たり前の分野なので、新規技術の社会受容を考えると、医療用途を先行させるというのは戦略としてもアリだと思う。食品用途で先行させるとリスク面だけが強調されて失敗する可能性が高まる。どっちにせよ、リスク(の可能性)とベネフィット(の可能性)が初期の段階で両方伝えられることは、リスクベネフィット思考のための良い題材になりそうだ。