社会科学のフロンティア

Science誌に載った「社会科学におけるいくつかのフロンティア」という展望論文(Science 312: 1898-1900, 30 June 2006).全体のテーマは「複雑な相関関係の記述から役に立つ予測へ」となっていて,具体的に6分野が挙げられている.どれも興味深い.

  • Longitudinal Surveys(長期的な追跡調査):同一人物を対象に追跡.
  • Laboratory Experimentation(実験室内実験):まさに,行動経済学や実験経済学.
  • Improved Statistical Methods(改善された統計的手法):ウェブアンケートに代表性をもたせる工夫や個人情報を保護しながら統計解析を行う手法など.
  • Geographic Information Tools(地理情報ツール):「GISGPS」を用いた社会科学.
  • Biosocial Science(生物社会科学):Wilsonは社会生物学と言ったがここは「生物社会化学」.他にも「神経社会科学」,これは神経経済学に相当する.意思決定,共感,時間選好などを生物学的に理解する.「進化論」や「動物行動」の解析なんかも入ってくる.アンケート調査で尋ねる項目として「バイオマーカー」が挙げられてる.この例として年齢や健康状態,子供の有無などが挙げられているが,将来的には遺伝子情報なんてのも入ってくるかも.
  • International Replications(国際的追試):大規模な国際クロスセクション調査への期待.