2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

今度はナノ粒子とアルツハイマー病を結び付ける報道

ことの発端は、英国Ulster大学が8月24日に「画期的な研究がナノ粒子とアルツハイマー病を結び付ける」というプレスリリースを発表したことだった。これを受けて、例えば「サンスクリーンがアルツハイマー病につながっているかもれないと専門家が言う」とか「…

論文本体その2:ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文

論文に載っている基礎的情報をメモ。 印刷工場の同じ部署で働いていた7人の若い女性患者は、5〜13ヶ月の曝露ののち2007年1月から2008年4月にかけて北京Chaoyang病院を訪れた。彼女たちはその前に地域の病院において複数の胸腔穿刺、抗生物質、抗結核薬、メチ…

論文本体その1:ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文

Song, Y., Li, Y. and Du, X. (2009). Exposure to nanoparticles is related to pleural effusion, pulmonary fibrosis and granuloma. European Respiratory Journal (Published online before print August 20, 2009).ようやく論文本体を読んだので感想を…

報道その1:ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文

昨日ウェブに掲載されると言われていた論文はまだアップされない。一番詳しく紹介しているのは、SAFENANOのエディターであるBryony Ross氏のまとめかな。論文公表を前提にどんどん報道は増えていく。もしかして専門家からの批判を受けてERJ誌側が慎重になっ…

続報その2:ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文

Maynard氏のブログに引用されている有識者6名の見解を(かなり適当に)まとめてみた。詳しくはご自分でチェックしてください。いずれもナノトキシコロジーの有名どころばかり! Professor Anthony Seaton MD 多数の欠陥のある研究である。特に肺の中と労働環…

続報:ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文

昨日取りあげた論文はやはり大きな波紋を呼んでいるようだ。論文自体はまだERJ誌のウェブサイトに掲載されていないので読むことができない。 Andrew Maynard氏はブログに3つも連続で記事を書いている。1つ目は、ナノテクに対する反対派と推進派によってこの…

CNano社のMWCNTが同意司令を受ける

北京の工場のCNT生産能力を世界最大の年間500トンに拡大したCNano Technology Limited (CNano)社が、製造前届出(PMN)を出していた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)について米国環境保護庁(EPA)から同意司令(Consent Order)を受け取ったと8月18日に発…

ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文の発表とそれへの素早いコメント

European Respiratory Journalの9月号に、"Exposure to nanoparticles is related to pleural effusion, pulmonary fibrosis and granuloma"(ナノ粒子への曝露が胸水、肺線維症、肉芽腫と関連がある)という論文が掲載される。この論文では、中国の工場でナ…

BASFがMWCNTのラット90日間吸入曝露試験の結果を発表

たぶん初めてCNTの90日間吸入曝露試験の結果が査読付き論文の形で発表された(リンク)。実験はBASF社の研究者によって実施されたが、評価対象はNanocyl社の商品であるNMCNT。曝露装置もBASF社が大学と共同で開発したものを使っている。アブストしか読んでな…

「エコで責任あるナノテクノロジーを進めるための研究の優先順位」

3月に開催されたICON主催のワークショップの結果をまとめたペーパーがACS Nano誌に出た。ワークショップで明らかになった重要な知識ギャップは次のとおり(詳細は論文を参照)。 環境中の工業ナノ材料のための構造活性関係(SARS) ナノ粒子と環境の相互作用…