2007-01-01から1年間の記事一覧

ナノテクCMその2:東レ

繊維系の中でこれまであまりナノ訴求していなかった東レが突然「東レのナノテク」(まるで家電業界の中での日立みたいに)を前面に押し出し始めた。この意思決定の裏にはどのような計算があるのだろうか?ナノテクを表に出すのはやめておこうという意見も中…

ナノテクCMその1:グンゼ

グンゼが"THE GUNZE"というブランドを売り出すためのCMシリーズの第4話に「ナノテクの謎」を作成。そもそもこのCMシリーズでは故松田優作の映像とセリフ(「探偵物語」からのカット)をフィーチャーしたことで有名に。「綿のセルロース繊維をナノレベルで改…

MaynardさんのBlog記事2件

1つ目は12月8日付け。ヘルシンキで開催されたEuropean Nanotechnology Occupational Safety and Health(NanOSH)に行ってきたときの感想で、タイトルは「現代科学のシャンパンバーで飲む」。科学として見たときに、リスク研究は、特許をどんどん取れるよう…

NIOSHがナノテク労働者曝露についての暫定ガイダンスを発表

NIOSH (National Institute for Occupational Safety and Health)は12月13日、ナノ材料の製造や産業利用において工業ナノ粒子に曝露する可能性がある労働者向けの医学的なスクリーニングや登録制度に関する暫定的なガイダンスを発表した(プレスリリース)。…

Nanomanの冒険

Maynard氏のブログ記事より.1年前の"Nanotechnology Occupational and Environmental Health & Safety Conference"に初登場したらしい(どんな形で?).Youtubeで見ることができる.当時Nature誌に載った"Five Grand Challenges for Safe Nanotechnology"…

EPAから研究計画の最新版がまもなく出る

EPAのナノテク研究計画の最新版(外部レビュー用)がそろそろ明らかになるらしい.これは今年(2007年)春に出たWhite Paperの改訂版という位置づけだ.そこでは4つの主要エリアに焦点が当てられている,すなわち,運命・移動・曝露,ヒト健康と生態影響,リ…

SRA2007予習その4

Specialty Groupの年末活動報告より,2回目は"Dose Response"(用量反応).世話人はDale Hattis氏.毒性影響の個人差に関するデータベースを作成している. 目指している方向は,1)確率的であり,2)作用機序(mode-of-action)に基づく用量反応関係の評価だ…

2007 SRA Annual Meetingの予習その3

SRAのSpecialty Groupの1つ「意思決定解析とリスク(Decision Analysis and Risk: DARSG)」の世話人はLinkov氏。彼は"Multi-Criteria Decision Analysis"(MCDA:多基準意思決定解析)の支持者。最近はナノ材料のリスク評価・管理を研究している。DARSGも彼…

デンマーク環境保護省による消費者製品調査

デンマーク環境保護省(EPA)は「消費者製品における化学物質」というサイトで、調査レポートを多数掲載している。その中に、ナノテク製品に関するものが2つあり、どちらも2007年に発表されている。 Survey No.81 "Survey of nanotechnological consumer pro…

大統領府OSTPとCEQが監視原則の覚書を通達

米国大統領府の科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)と環境諮問委員会(Council on Environmental Quality: CEQ)が,省庁向けに覚書(memorandum)を,11月8日発表した(pdf).各省庁で規制導入の動きが出てくるのを牽制する意図…

保険会社のリスク計算の客観性は?

保険会社にとってはナノテクノロジーのような新規リスクがどの程度のものであるのかは経営上とても重要な事項だ.だからSwiss Re社のような大きな保険会社は早い時期からナノテクノロジーのリスクに大きな関心を示していた.新規技術は保険会社にとってビジ…

ナノリスクの現状についての分かりやすいまとめ記事

The Economics誌の"A little risky business" Environmental Science & Technology誌の"The challenge of regulating nanomaterials"

日本でも法規制ギャップ調査が進行中・・・のはず.

首相、消費者重視アピール 安全確保で法令総点検指示へ(産経新聞) しばらく前のニュース記事だけど,これこそまさにまさに「法規制ギャップ調査」だ.いちおう「年内にとりまとめる」とあるので楽しみだ.「点検の対象は食品、消費者、商取引、輸出入、建…

NTPにおけるナノ材料

12月6日に開催されるNational Toxicology Program(NTP)のBoard of Scientific Counselors Meeting(科学諮問委員会のミーティング)で,候補物質として「ナノスケール金」が取り上げられる(リンク).そのための"NTP Research Concept: Nanoscale Gold"が用…

2007 SRA Annual Meetingの予習その2

12日のPlenaryは昼食を食べながらの"Nudge Nudge, Say No More?".どうもこの言葉はモンティ・パイソンからの引用のようだ.ゲストは今大会一番の大物,Chicogo大学ロースクール教授のCass R. Sunstein氏.タイトルは「リバタリアン・パターナリズムは矛盾し…

2007 SRA Annual Meetingの予習その1

米国San Antonioで12月9〜12日まで開催されるSociety for Risk Analysis 2007 Annual Meetingの予習を開始.まずは毎年充実しているPlenary Sessionの顔ぶれをチェック. 10日朝のテーマは"Get Smart"で,神経科学者のJoseph LeDous氏と心理学者のElke U. We…

米国EPA人事

EPAのOffice of Research & DevelopmentのトップであるGeorge Gray氏が、Nanotechnology Environment & Health Implications (NEHI) WGの共同議長に任命された。NEHIは、Nanoscale Science Engineering & Technology (NSET)小委員会の一部であり、NSETは、Na…

米国で法規制ギャップ調査プロジェクト

規制緩和についてはあちこちで熱心に議論されてきたけれど,法規制が足りないところを探す努力は見当たらない.つまり法規制ギャップ調査だ.多くの事故や事件はこうしたギャップにおいて発生する.技術開発のスピードに比べて法規制改正のスピードは遅い.…

行動規範を作ろうという動き

欧州委員会主催の"Debate on Governance Initiatives for the European Nanotechnology Community in the Public and Private Sectors"(公的および民間部門の欧州ナノテクコミュニティのためのガバナンス・イニシアティブについての議論)が,12月5日にブリ…

小委員会でのヒアリング

小委員会でのヒアリングは10月31日に実施されたもので3回目. 第1回:2005年11月17日「ナノテクノロジーの環境と安全への影響:どのような研究が必要か?」 第2回:2006年9月21日「ナノテクノロジーの環境と安全への影響に関する研究:連邦省庁は何をやって…

米国下院の小委員会でヒアリング・・・NNIでの優先順位策定の遅れが焦点か?

10月31日、米国下院の科学技術委員会、研究と科学教育小委員会で「ナノテクノロジーの環境と安全への影響に関する研究:NNIのもとでの計画と実施の現状(Research on Environmental and Safety Impacts of Nanotechnology: Current Status of Planning and I…

ADSDRがナノ材料を有害性評価対象候補へ

Lynn L. Bergeson氏のblogによると,Agency for Toxic Substances and Disease Registry (ATSDR)は,"toxicological profile"を作成する候補物質リストを挙げ,一般からのリクエストを募っている(10月25日付けFederal Register).候補物質が73ある中で,71…

英国の自発的報告制度(VRS)は失敗っぽいなあ。

Defraによる制度が始まって1年が立ち、3か月ごとの報告の4回目が発表された(pdf)。最新の3か月はとうとう新たな提出件数ゼロという事態になってしまった。合計すると1年間で9つの提出。内訳は、産業界から7件、学術界から2件。政府の有害物質諮問委員会(A…

Dupont社が新製品リリースと同時に「リスク評価ワークシート」を発表!

Dupont(デュポン)社は6月21日に正式発表した"Nano Risk Framework"を実際の製品に適用した「ナノ材料リスク評価ワークシート」を発表した。もともとケーススタディは3種類のナノ材料が対象。1)DuPont™ Light Stabilizer 210(光安定剤)、2) Carbon Nanotu…

貧困と人間発達

米国National Institute of Health (NIH)が,"Council of Science Editors' 2007 Global Theme Issue on Poverty and Human Development"というイベントを立ち上げた.10月22日に開催され,もうwebcastで字幕付きで見れる(realplayer).JAMAやBMJを始めと…

タミフルが下水処理場を素通り

インフルエンザ治療薬であるタミフルが通常の下水処理施設では除去されず,そのことが耐性菌を招くことにつながるのではないかと指摘する論文,「抗ウイルス剤オセルタミビルは通常の下水処理では除去あるいは分解されない:インフルエンザA型ウイルスの耐性…

高齢者の肺がん治療は非効率

American Cancer SocietyのジャーナルCancerに載った論文.「高齢者における肺がんへの医学的介入の価値:SEER-CMHSFからの結果(The value of medical interventions for lung cancer in the elderly: Results from SEER-CMHSF)」は,高齢者の肺がん治療は…

ルワンダ大虐殺と精神的無感覚

"Hotel Rwanda"(邦題:ホテル・ルワンダ)に続いて,"Shooting Dogs"(邦題:ルワンダの涙)を見た.フツ族とツチ族という部族同士の対立から始まった犠牲者が100万人と言われる大虐殺をテーマにした悲惨な話だけど,「ホテル・ルワンダ」はホテルが匿った…

「国立」が付くのと付かないのとでは大違い

WIRED JAPANの「『iPhone』の有害物質:米国立環境衛生センターが法的手続きを開始」という記事の見出しをみて驚いたけど、「米国立環境衛生センター」は間違いで、法的手続きを準備しているのはNGO団体である"Center for Environmental Health (CEH)"の方。…

ブートキャンプ

用量反応評価ブートキャンプというのが10月22〜26日にOhio州Cincinnatiで開催される.Toxicology Excellence for Risk Assessment (TERA)主催.ブートキャンプというだけあって,相当鍛えられそうだ.費用は$1500.