2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

(覚書)Nature Nanotechnology誌の12月号をチェック

もうすぐ出るNature Nanotechnology誌の12月号に,消費者製品を購入あるいは使用するかどうかを判断する際に,消費者がそのリスクとベネフィットをどのように考えているかについての大規模アンケート結果が載るらしい.実施したのは,Steven C. Currall氏とN…

カーボンナノチューブの河川水中での動態

ナノ材料の実際の環境中での挙動についてはまだまだ分からないことが多いのだけど,ここで紹介されている研究は,界面活性剤の入った実際の河川水にマルチウォールのカーボンナノチューブを入れると,凝集せずに数日間に渡って分散した状態が続いたという実…

死因と原因

リスクを数字で表すときにいつも気になっているのだけど,交通事故っていうのは原因であって死因でない.この言葉遣いは標準的じゃないかもしれないけど,こう言わないとうまく表せない.死因は全身打撲とか出血多量だ.肺がんは死因だけど,原因はタバコか…

Time誌のリスク認知特集記事

Time誌の記事「どうして私たちは気を揉まなくても良いものを気にして,気にすべきものをそうしないのか?(Why We Worry About The Things We Shouldn't... ...And Ignore The Things We Should)」は,よくあるリスク認知の主観と客観のギャップをネタにリ…

ドイツで実施された「消費者会議」の結果

11月23日[ナノ]ドイツで実施された「消費者会議」 この会議の参加者16人の消費者による投票結果が発表された(link).包括的なラベリング,明確な定義,使用条件,そして消費者製品に利用される前に潜在的なリスクの研究を要求.ナノ材料の使用では,食品をも…

エネルギー生産基地としての砂漠

The Guardian紙の記事「どうやって鏡が世界を照らし出すか」.ドイツの2人の科学者(Dr Gerhard Knies and Dr Franz Trieb)がドイツ政府に提出した報告書によると,集光型太陽熱発電(Concentrating Solar Power:CSP)で世界中の暑い地域の砂漠の0.5%をカ…

バークレー市のナノ材料規制の動き

EPAが規制導入を表明したところだけど,カリフォルニア州バークレー市がナノ材料への地方レベルでの世界初の規制に乗り出そうとしているらしい(link).12月5日に市議会で議論され,承認されれば,これまで有害物質について適用されていた,インベントリー…

ナノイベント2件

その1)12月4〜7日にオハイオ州シンシナティで「ナノテクノロジーの労働および環境における健康&安全に関する国際会議:研究から実践へ(International Conference on Nanotechnology Occupational and Environmental Health & Safety: Research to Practi…

欧州での化粧品への関心

欧州でも化粧品に使用されているナノ材料の安全性への関心が高まっているようだ.消費者製品に関する科学委員会(SCCP)は11月初めに,情報募集を開始した(link).締め切りは12月16日.要求されている内容は次のとおり. 本件に関して科学的なピアレビュー…

銀ナノ粒子の規制(続き)

Friends of the Earthのドイツ支部であるBUNDが,サムスンの銀ナノ粒子を使った洗濯機を買わないように消費者に呼びかけている.サムスンの言い分は,排出される銀は洗濯機1台あたり年間0.05グラムに過ぎず,排出された銀イオンも水中で素早く非ナノ構造物と…

銀ナノ粒子の規制

EPA to Regulate Nanoproducts Sold As Germ-Killing(Washington Post) EPAは銀ナノ粒子の規制に乗り出す模様.環境保護の観点から,流出した銀ナノ粒子が,有益なバクテリアや水生生物を殺し,ヒト健康にも影響を与えるのではないかと懸念されている.細…

将来のリスク認知を探る

European Futurists Conference Lucerne(欧州未来派会議ルツェルン)による「未来を理解する(Making Sense of the Future)」が11月22〜24日にスイスで開催されている.プレ会議での第5ワークショップは「人々のリスク認知を予見する:ナノテクノロジーを…

決められた選択肢の中から決められた時間に見させられるという前時代的な設定が嫌なのでテレビは見ないことにしてるんだけど,病院の待合室のテレビで「急斜面の犬」のニュースをやっていた.どうしてこういうどうでもいいニュースが取り上げられるのか,何…

カーボン・フットプリント

将来は店で売っている製品に必ず「カーボン・フットプリント」が記載されるようになるだろう.カーボン・フットプリントとは,その製品の原料採取から廃棄されるまで,つまり「ゆりかごから墓場まで」の炭素排出量のことだ.英国で最近行われたアンケート調…

ナノテク兵器

テロ対策に人造スズメバチ、イスラエルがナノテク兵器(asahi.com) 日本ではナノテクに対する印象はほとんどの人でプラスのものだ.それは,CMやテレビ番組で,家電や化粧品などに使われているナノテクが印象良くとりあげられているからだ.iPodナノのイメ…

ドイツで実施された「消費者会議」

連邦リスク評価研究所(BfR)でのパイロットプロジェクトとして,「食品,化粧品,衣料の分野におけるナノテク認知に関する消費者会議(Consumer Conference on the perception of nanotechnology in the areas of foods, cosmetics and textiles)」が立ち…

携帯電話を取り巻く「ケータイという文化」が嫌い.

石川温著『Web2.0時代のケータイ戦争−番号ポータビリティで激変する業界地図』角川oneテーマ21. うまく言い表せないのがとても悔しいのだけど,携帯電話はそれそのものじゃなくて,「ケータイ」と表記されるような携帯電話を取り巻く文化が嫌いなのだ.まず…

ナノテクノロジー製品ディレクトリー

日本版のナノテク製品インベントリーを作っているのだが,これとよく似た感じのサイトを発見.その名も「ナノテクノロジー製品ディレクトリー(Nanotechnology Product Directory)」.ただし目的はまったく違う.URLからも分かるとおり,ここの目的はマーケ…

行動経済学が消費者金融の興隆をどう説明しているか気になる.

須田慎一郎著『下流喰い−消費者金融の実態』ちくま新書. 消費者金融といえば,ひたすらイメージだけを流すテレビCMの洪水と無人ATM店舗がいくつかまとまって道路沿いに結集している姿を並べて見るととても不気味だ.あれだけ店舗ができるということは利用者…

米国下院科学技術委員会

中間選挙で民主党が多数派になったが,下院科学技術委員会はナノテクに強い関心を示し続けている.議長のBoehlert氏(R-NY)と民主党員のGordon氏(D-TN)は、Nature誌の論文(5つの壮大な挑戦)を受けて,共同声明を発表(news). 下院科学技術委員会では去…

欧州のNanologueプロジェクトの報告書:3つのシナリオ

Nanologueプロジェクトは「ナノテクノロジーの未来:私たちは話し合う必要がある(The future of nanotechnology: We need to talk)」をリリース.ナノテクノロジーの3つのありうる未来像が提示され,2015年までシナリオが提示されている.この未来像は60人…

「研究結果」の確からしさについてメディアは区別できないのか?

「いじめ、テレビやゲーム漬けが影響か 京大など調査」(朝日新聞) この記事についてはここに(冷静すぎるくらい冷静に)詳しく書かれているからもういいかなと思ったけどやはり書きたくなった.まず,メディアは,「単なる記者発表」(あるいは,誰でもで…

ナノテクの5つの「壮大な挑戦」

Maynard, A. D. et al. Safe handling of nanotechnology. Nature 444: 267-269 (16 November 2006) Nature誌11/16日号の論文.タイトルは「ナノテクノロジーの安全な扱い」という地味なものだけど,有名人たちの連名で,責任あるナノテクノロジーの発展のた…

農水省の「個別危害要因」の優先順位付け

松永和紀のアグリ話「食のリスクは俯瞰の視点で」に紹介されている農水省のリスク因子の優先順位付けの手続き.以下のような感じ. 2005年8月「農林水産省及び厚生労働省における食品の安全性に関するリスク管理の標準手順(SOP)」を作成.ここに,リスク管…

古典的名著「費用便益分析」の第5版(ミシャンが復活?)

費用便益分析の古典的名著, Mishan, E. J. "Cost Benefit Analysis"の第5版が今ころになって出版された.さらに,今回はEuston Quah氏という共著者までいる.Quah氏は,シンガポールにある南洋工科大学(Nanyang Technological University)の人文社会科学部…

「どの死亡原因を取り除いて欲しいか」

安井至氏の「リスク報道を超えて 死亡数によるリスク表現」で出された宿題へ回答してみた。 「どの死亡原因を取り除いて欲しいか」を考えていると、2通りあるように思いました。 A.自分のことではないけど、悲惨なので減らして欲しいもの B.自分の死亡リスク…

週刊ポストの<衝撃データを一挙公開>の衝撃(笑)

コンビニでふと目に付いたので立ち読みしてみた.週刊ポスト11/17号の表紙に掲げられたタイトルは「『受動喫煙は子供の発がん率を低下させる!』 成人男女も「影響なし」――WHOが封印した7年間の研究成果」.内容もツッコミどころ満載だったのだけど,一…

次の段階に進む英国の温暖化対策

日本では道徳観に訴えるような生ぬるーいことをやっている間に,英国では温暖化対策2.0とも呼ぶべき動きを見せている.その1つがこれ.英国下院気候変動グループ議長のChallen氏は,クルマの広告の四分の一のスペースは環境影響データを載せるべきだと発言し…

「ナノテクノロジーにおける戦略的コミュニケーションと応用倫理学」

欧州委員会から資金を得て活動しているNanoBio-RAISE(ナノバイオテクノロジー:社会と倫理における問題への責任ある活動)がオックスフォード大学で6日間の国際上級コース「ナノテクノロジーにおける戦略的コミュニケーションと応用倫理学」を開催する.期…

フランスの倫理委員会の8つの勧告

フランスの国立科学研究センター(CNRS)の倫理委員会(COMETS)は,ナノサイエンスとナノテクノロジーに関する倫理問題についての意見を発表した(本文はフランス語のみpdf).内容はだいたいこんな感じ. 1.研究開発に関心があるすべてのステイクホルダー…