2006-01-01から1年間の記事一覧

2007年は…

進化心理学周辺を勉強して,リスクをめぐる心理学や経済学の統一理論へ向けた足がかりを作りたい.というわけで2007年の私的アジェンダ. 1.進化心理学を通して人間本性を理解し,その限界を乗り越える理性のあり方を検討すること. 2.神経経済学を通して…

ナノイベント3件

1つ目は「消費者製品中のナノテクノロジーに対する規制(Regulations for Nanotechnology in Consumer Products)」という会議で,2月8〜9日にワシントンDCで開催される.副題は「消費者製品中のナノテクノロジーに対する将来の規制展望を評価する」.スピー…

子供を重視すべき理由について

リスク削減において,子供を大人や高齢者よりも重視すべきであるとする主張の根拠として,A)獲得余命最大化,と,B)フェア・イニングズ仮説(ライフサイクル原則)の2つがあった.前者は,最小の費用で最大の効果を得るという効率性を基礎とした倫理原則であ…

法+医療+倫理

"The Journal of Law, Medicine & Ethics"という雑誌の2006年冬号(Vol. 34 Issue 4)でナノテクノロジー特集.シンポジウムで報告された論文を集めたもののようだけど,タイトルだけコピーして並べてみた. The Politicization of Science and Technology: …

米国のリスク評価ガイドライン

米国でのリスク評価ガイドラインは,1983年に出版された通称"Red Book"(Risk Assessment in the Federal Government: Managing the Process)の4段階アプローチがスタンダードとなっている.2006年6月にはEPAは全米科学アカデミー(NAS)と,赤本の更新に関す…

Society for Risk Analysis 2006 Annual Meeting(Baltimore, Maryland)

☆全体の印象☆ 最近は公的機関がどんどん情報をネットに公開するようになり,海外で行われる会議の資料や映像さえネットで見れるようになってきた.今回感じたのは,あまり情報がない中でのナノテクノロジーのリスク管理の議論を聞いても新しい情報というもの…

ナノテクアパガード

アパガードの話が,「ナノテクノロジーが練り歯磨きの中に?」という記事で取り上げられている.記事自体は化粧品への適用の急拡大とそれへの各方面からの反応という感じの内容.そのイントロに例として象徴的に使われている.ちょっとおもしろかったので引…

専門用語に関する標準

ASTMナノテクノロジーに関する国際委員会は最初の標準であるE 2456(ナノテクノロジーのための専門用語)を承認した.もうすぐウェブページで自由に見られるようになるそうだ.

温暖化対策のリスクトレードオフ

ES&Tに載る論文.温暖化対策としてUKで増えるディーゼル乗用車によってPM曝露による死者数が年間90人増えるという計算.温暖化対策はそもそも追加的費用がかかるという時点で何らかのトレードオフを伴う.当たり前のことなんだけど見逃されがちだからチェッ…

NAAQS改訂手続きの改訂

日本では一度決まった環境基準値はカビが生えても30年も変わらない(そういう決まりになっていなかったのもあるけどやはりNOx基準値改訂でのトラウマからか?)けど,米国では定期的に見直すことが義務付けられており,最新の科学的知見を取り入れる制度的な…

米国バークレー市のナノ規制

12月5日の議会で全会一致で可決された.日本語の記事が出た.規制の内容はここで,改訂された法律の文面はこんな感じ. 工業ナノ粒子を製造または使用するすべての事業所は,報告された材料の現在知られている毒性,事業所が安全に取り扱い,モニターし,貯…

「気候変動とメディア」公聴会

米国議会上院の環境及び公共事業委員会(U.S.Senate Committee on Environment & Public Works)で「気候変動とメディア」という公聴会が開催された.ここからRealPlayerで見れる.テキストはここ.テーマは,メディアは科学的知見を正しく伝えているか.議…

航空機テロのリスクアセスメント

米国では今,国内・国際問わずすべての空路の「脅威レベル(threat level)」がオレンジ(=高い)となっていて,液体やジェル状のものの航空機への持込みが禁止されている. 米国の国土安全保障局(DHS)はテロのリスク評価手法である"Automated Targeting …

[リスク」鉛が「大気汚染物質」でなくなるかも?

EPAは,科学的文書であるCriteria Documentの完成(9月)を受けて,いよいよ政策につなげるStaff Paperの第一草稿を12月5日にリリースした.続いて15日には,"Lead Human Exposure and Health Risk Assessments and Ecological Risk Assessment for Selected…

欧州のアクション・プラン

欧州議会でアクション・プランが採択された.法的拘束力はなく,決意表明のようなもの(European Parliament resolution on nanosciences and nanotechnologies: an action plan for Europe 2005-2009).ナノテクの社会的影響に関する項目は19〜26あたり. …

(覚書)Nature Nanotechnology誌の12月号をチェック

もうすぐ出るNature Nanotechnology誌の12月号に,消費者製品を購入あるいは使用するかどうかを判断する際に,消費者がそのリスクとベネフィットをどのように考えているかについての大規模アンケート結果が載るらしい.実施したのは,Steven C. Currall氏とN…

カーボンナノチューブの河川水中での動態

ナノ材料の実際の環境中での挙動についてはまだまだ分からないことが多いのだけど,ここで紹介されている研究は,界面活性剤の入った実際の河川水にマルチウォールのカーボンナノチューブを入れると,凝集せずに数日間に渡って分散した状態が続いたという実…

死因と原因

リスクを数字で表すときにいつも気になっているのだけど,交通事故っていうのは原因であって死因でない.この言葉遣いは標準的じゃないかもしれないけど,こう言わないとうまく表せない.死因は全身打撲とか出血多量だ.肺がんは死因だけど,原因はタバコか…

Time誌のリスク認知特集記事

Time誌の記事「どうして私たちは気を揉まなくても良いものを気にして,気にすべきものをそうしないのか?(Why We Worry About The Things We Shouldn't... ...And Ignore The Things We Should)」は,よくあるリスク認知の主観と客観のギャップをネタにリ…

ドイツで実施された「消費者会議」の結果

11月23日[ナノ]ドイツで実施された「消費者会議」 この会議の参加者16人の消費者による投票結果が発表された(link).包括的なラベリング,明確な定義,使用条件,そして消費者製品に利用される前に潜在的なリスクの研究を要求.ナノ材料の使用では,食品をも…

エネルギー生産基地としての砂漠

The Guardian紙の記事「どうやって鏡が世界を照らし出すか」.ドイツの2人の科学者(Dr Gerhard Knies and Dr Franz Trieb)がドイツ政府に提出した報告書によると,集光型太陽熱発電(Concentrating Solar Power:CSP)で世界中の暑い地域の砂漠の0.5%をカ…

バークレー市のナノ材料規制の動き

EPAが規制導入を表明したところだけど,カリフォルニア州バークレー市がナノ材料への地方レベルでの世界初の規制に乗り出そうとしているらしい(link).12月5日に市議会で議論され,承認されれば,これまで有害物質について適用されていた,インベントリー…

ナノイベント2件

その1)12月4〜7日にオハイオ州シンシナティで「ナノテクノロジーの労働および環境における健康&安全に関する国際会議:研究から実践へ(International Conference on Nanotechnology Occupational and Environmental Health & Safety: Research to Practi…

欧州での化粧品への関心

欧州でも化粧品に使用されているナノ材料の安全性への関心が高まっているようだ.消費者製品に関する科学委員会(SCCP)は11月初めに,情報募集を開始した(link).締め切りは12月16日.要求されている内容は次のとおり. 本件に関して科学的なピアレビュー…

銀ナノ粒子の規制(続き)

Friends of the Earthのドイツ支部であるBUNDが,サムスンの銀ナノ粒子を使った洗濯機を買わないように消費者に呼びかけている.サムスンの言い分は,排出される銀は洗濯機1台あたり年間0.05グラムに過ぎず,排出された銀イオンも水中で素早く非ナノ構造物と…

銀ナノ粒子の規制

EPA to Regulate Nanoproducts Sold As Germ-Killing(Washington Post) EPAは銀ナノ粒子の規制に乗り出す模様.環境保護の観点から,流出した銀ナノ粒子が,有益なバクテリアや水生生物を殺し,ヒト健康にも影響を与えるのではないかと懸念されている.細…

将来のリスク認知を探る

European Futurists Conference Lucerne(欧州未来派会議ルツェルン)による「未来を理解する(Making Sense of the Future)」が11月22〜24日にスイスで開催されている.プレ会議での第5ワークショップは「人々のリスク認知を予見する:ナノテクノロジーを…

決められた選択肢の中から決められた時間に見させられるという前時代的な設定が嫌なのでテレビは見ないことにしてるんだけど,病院の待合室のテレビで「急斜面の犬」のニュースをやっていた.どうしてこういうどうでもいいニュースが取り上げられるのか,何…

カーボン・フットプリント

将来は店で売っている製品に必ず「カーボン・フットプリント」が記載されるようになるだろう.カーボン・フットプリントとは,その製品の原料採取から廃棄されるまで,つまり「ゆりかごから墓場まで」の炭素排出量のことだ.英国で最近行われたアンケート調…

ナノテク兵器

テロ対策に人造スズメバチ、イスラエルがナノテク兵器(asahi.com) 日本ではナノテクに対する印象はほとんどの人でプラスのものだ.それは,CMやテレビ番組で,家電や化粧品などに使われているナノテクが印象良くとりあげられているからだ.iPodナノのイメ…