2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ナノ予定表

4月24〜25日に米国マサチューセッツ州で「Overcoming Obstacles to Effective Research Design in Nanotoxicology(ナノ毒性学において効果的な研究設計を妨げているものを克服する」 よくある毒性学の会議と違って,実験や評価を行うにあたってのかなり具体…

ナノテクノロジー・ガバナンス

「ナノテクノロジー・ガバナンス:地球的視野からの環境管理」というシンポジウムが5月19日にヴァンダービルト大学(テネシー州)で開催される(link).これからの時代,新技術を社会が受け入れていくには,政府の規制(regulation)や企業による管理(mana…

Rand Corporationの報告書

2005年10月に開催されたワークショップの報告書が発表された(link). 「労働現場におけるナノ材料:労働安全と健康に関する政策と計画ワークショップ("Nanomaterials in the Workplace: Policy and Planning Workshop on Occupational Safety and Health"…

チェルノブイリで疫学調査が行われていなかった!

疫学調査の見通し立たず チェルノブイリ事故20年 これには驚いた.低用量曝露の影響をめぐって不毛な議論をする暇があったら,50年以上追跡するようなきちんとした疫学調査をやってほしい.もしかして低用量での影響がはっきり出てしまうことを恐れてやら…

米国OMBの提案する新しいリスク評価ガイドライン

米国行政管理予算局(U.S. Office of Management and Budget:OMB)は,連邦機関が実施するリスク評価の質と客観性を高めるための,リスク評価の新しいテクニカル・ガイダンスを提案した(pdf).パブリックコメント期間は6月15日まで. OMBは,連邦機関が実…

アースデイのイベントで考えた

代々木公園のアースデイのイベントを見てきた.大きなイベントになったなあというのが最初の感想.地球環境問題を考えている人がこんなに増えたのなら世の中変わるかもと思ったりした.しかし,違和感も感じた.そのあと,原宿駅を越えて表参道の人込みに入…

アル・ゴアの映画

"An Inconvenient Truth"(不都合な真実)が5月24日から米国で公開される.「もはや政治の問題ではない,モラルの問題だ」と演説するゴア氏. これによって,「2006年からアメリカが劇的に変わり始める!」というRenew USの妄想(?)が実現するんだろうか?…

アースデイにそなえて.

Renew USの"FUTUREFLIX"は2006年から目指すハッピーエンド未来像.2055年から振り返るという設定.2005年に石油・石炭会社の抵抗も終わり,2006年からアメリカは劇的に変化していく."Renew US"が全米に広がり,クリーンエネルギー導入が進んでいく.2011年…

人類学の雑誌"Practicing Anthropology"がナノテク特集

といってもウェブにさえTable of Contentsが見つからないし(ここに出るのかな),NACSIS Webcatで検索したら日本の研究機関で4箇所にしか入ってない. とにかく,「北米の社会科学雑誌で初のナノテク特集号」だそうだ.ミシガン州立大学のJohn Stone氏とオ…

9.11テロの間接影響−リスクを避けようとして増えたリスク*1.

一度に多数の人が亡くなるような出来事は人々の印象に強く残りやすい.1年間に交通事故で数千人亡くなっていることと,一度の事故や災害で数千人亡くなることの意味は(たとえ合理的でないとしても)大きく異なる.こういうめったに起こらないが,いったん起…

飲酒運転厳罰化でひき逃げ急増

2006年4月17日のNHK番組「クローズアップ現代」で、2001年の刑法改正による危険運転罪の新設の結果、飲酒運転で事故を起こした運転者が、刑罰を恐れて逃亡するひき逃げ事件が急増しているとのテーマが報道された。この因果関係は、交通刑務所…

米国での負傷の年間コストは4060億ドル

米国CDCによる推計で,"The Incidence and Economic Burden of Injuries in the United States"として発売された.2000年には治療を必要とした傷害は5000万人で,コストの内訳は,医療費が802億ドル,生涯にわたる生産性損失(逸失所得,家事負担など)が326…

原油高騰は強烈な環境税たりうるか?

NY原油、最高値更新・時間外取引、一時70.86ドル 現世代は自分たちが生きている間のことだけしか考えずに石油を使ってきた(いやもっと近視眼的かもしれない).枯渇性資源の管理方法としては一番頭の悪い方法だ.将来世代のことを考えて理性の力で使用量…

ワークショップ「ナノと環境」(ブリュッセル)

Nano and the Environment 3月30〜31日にブリュッセルで開催.ナノテクと環境について,プラス面(モニタリングのためのセンサー,環境浄化,資源節約に役に立つ)を中心に,マイナス面(ヒト健康や生態系へのリスク)にも目を配るというワークショップ.ウ…

米国Ad Councilの地球温暖化キャンペーンのテレビCMが良い

地球温暖化は環境や地球の問題でなくて子供安全の問題だ.Ad Councilの作成したCMがすばらしいのでぜひ見てください."View the Ads"をクリックしたら見れます."Train"に1票入れました(現在Trainが76%でリード). 「地球が泣いている」とか「環境のため…

「地球」とか「環境」とは言わない.

「地球のため」とか「環境のため」という言い方は正確ではないし,誠実ではない.人間がどんなことをしようとも,地球はそのまま存在し続けるし,環境だって形は変えつつも存在し続ける.生態系だって人間がどんなことをしようとも何らかの形で存在し続ける…

ライオンの制汗剤「Ban」のCM

速水もこみちの出ている制汗デオドラント剤『Banパウダースプレー』のCMで「ナノテク」という言葉が聞こえてきた. 「ナノテクカラッとパウダーIN! 7つの香り カラッと快適ニオイもカット」しかし,ホームページを見ても,ナノテクがどのように使われ…

「マジック・ナノ」騒動の続報

ドイツの連邦リスク評価研究所 (BfR)は4月7日,専門家を集めた会議を開催した(link).そこではこんな指摘が. 専門家はまた,製品が高圧ガスを含むエアロゾルスプレーに適用される場合には,製品中の個別物質のこれまでの毒性評価は,不十分であることを指…

「ゼロリスク」は問題なのか?

リスク論のイントロとして,「ゼロリスクはありえない」みたいな論調から入る場合がある.しかし,「ゼロリスクを求める」=「リスク論を分かってない人」のような構図はあまり望ましくない.事実上のゼロリスクを求めること自体は,もしそのための費用があ…

「リスクコミュニケーション」という言葉が定着してしまう前に!

化学物質や新技術を社会でうまく使っていくために「リスクコミュニケーション」が大事だと言われる.しかし,化学物質や新技術の「リスク」だけコミュニケートしても意味がないし,むしろ有害だ.化学物質の持つ有益な面や特徴など,新技術が何に使われて,…

「生活意識に関するアンケート調査」(第25 回)の結果

日本銀行が平成5年から続けている調査. 【調査概要】 ・調査実施期間:平成18 年2 月23 日(木)〜3 月15 日(水) ・調査対象:全国の満20 歳以上の個人 ・標本数:4,000 人(有効回答者数 1,774 人<有効回答率 44.4%>) ・抽出方法:層化二段無作為抽出法 …

アメリカの環境成績表(PDF)

2006年3月9〜14日に実施.全米から無作為抽出した1002人の成人に対して電話調査.スタンフォード大学とABCニュースによる. 興味深い点は次の通り. 世界の環境が悪化している,あるいは悪いままであると回答した60%を「環境悲観主義者」,世界の環境が改善…

ナノテクに投資する(2)

初心者はまずはPXNに投資するのが無難だろう.しかし個別の企業を物色したい人には,"Investing in Nanotechnology: Thank Small. Win Big"が役に立つ.ただし著者も言うように目先の値上がり益を期待する人向けではない.まず,半導体産業やバイオテクノロ…

ナノテクに投資する(1)

Lux Researchはナノテク専門の調査及びコンサル会社で,Lux Nanotech IndexTMという株価指数を発表している.これをもとにしたナノテク上場投資信託(ETF)である"PowerShares Nanotechnology Index (AMEX:PXN)"も提供している. このインデックスは2つの企…

地球白書の最新版にナノテク

和訳は「地球白書」である"State of the World"(正しい訳は「世界白書」か?)の2006年版の第5章は「先細りする科学:ナノテク入門("Shrinking Science: An Introduction to Nanotechnology")」だ.ヒト健康や環境への影響が不確実なことだけでなく,特許…

「危険である」と認識することの意味

「今の日本は危険」7割 国土交通白書に国民意識(朝日新聞) 国民の7割以上が「今の日本は危険」・国交白書で意識調査(日経新聞) 2005年12月に実施,全国の20歳以上の男女2000人を対象に実施し,1314人から回答があった.回答率は65%とけっこう高いので…

「気温先物」は気候変動の予測市場に使える.

東京金先、気温数値の公表開始・天候デリバティブ上場に備え(日経) 気温先物は「将来の気温を予想して先物で売買する金融商品で,天候デリバティブ(派生商品)の一種」としてとらえられている.どの程度先の気温を取引するのか書かれていないが,10年,30…

ETCグループがモラトリアムをあらためて主張

やはりこの件で再びナノテク開発のモラトリアムを強く主張している. ETCグループは本日,ナノテクの研究開発および人工ナノ粒子を含む消費者製品のリコールの世界的なモラトリアムを求める2003年の呼びかけを更新した.体内へ摂取,人体へ適用,あるいは,…

ドイツのナノテク製品リコールはナノ粒子が原因でないかも?

ドイツでリコールされた"Magic Nano"は,「ナノ」と銘打っているものの,ナノテク製品ではなかった可能性がある(link).あるいはナノ粒子そのものが原因でなかった可能性がある. 以前,その製品はポンプ式のスプレー容器として売られており,4年間は何の…

生態系リスクの価値付け

米国環境保護庁(EPA)は環境対策の便益評価にヒト健康リスク削減だけでなく,生態系リスクの削減も含めたいと思っている.そのために,科学諮問委員会(SAB)で議論を積み重ねてきている(委員会のページ). 昨年9月に発表されたフレームワーク原案「生態系と…