2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ナノ予算に占める「環境安全健康(EHS)研究予算」

「本当はどれだけの予算がEHS研究に向けられているのか」についての米国での議論。まずはPEN(Project on Emerging Nanotechnologies)による分析(pdf)が4月19日付で発表された。NNI(National Nanotechnology Initiative)のFY2008予算のうち、3,770万ド…

OECDのスポンサーシッププログラム

日本で先週、OECDのスポンサーシッププログラムに関するワークショップが開催された。昨年決められた優先的に試験を行うべき14物質に加盟国がスポンサーとなり、有害性の試験セットが実施される計画。OECDの見積もりによると1物質あたり200万ドルかかるとい…

生物多様性へのリスクについてのhorizon scanning

予測は技術であって、その方法論自体が研究対象となりうる。そのためのツールとして、英国では"horizon scanning"が公的機関でも実施されている。日本ではまだあんまり重視されていないのでこの辺はビジネスチャンスだ。 生物多様性に対する将来的なリスクに…

ナノエシックスのアンソロジー

Springer社とThe Nanoethics Groupがナノエシックスに関するアンソロジー(ベスト盤?)を出版。タイトルは、"Nanotechnology and Society: Current and Emerging Ethical Issues"(ナノテクと社会:現在および将来の倫理問題)。目次はpdfで見れる。第1部が…

Nanoethics誌の気になった論文メモ

Ebbesen, M. (2008). The role of the humanities and social sciences in nanotechnology research and development. Nanoethics 2: 1-13. Ebbesen氏はデンマークのAarhus(オルフス)大学の生命倫理とナノ倫理センター(Centre for Bioethics and Nanoethi…

ICONから5月1日に新レポート発表

ライス大学を拠点とする、ICON(International Council on Nanotechnology)は昨年、13カ国から70人の専門家のコラボで2回のワークショップを開催し、ナノテクの潜在的影響を評価するための研究ニーズを特定することを試みた。このICONとNSFが資金を提供した…

移動距離よりも生産方法

ES&T誌に載ったWeber and Matthews (2008)は、最近あちこちで言われていることだけど、地球温暖化対策には、フードマイルズ(移動距離)よりも、どのようにして生産されているか(生産方法)の方が大事だということを示した論文(news)。フードマイルズは日…

NNI改正法に向けての下院公聴会

NNI改正法(National Nanotechnology Initiative Amendments Act of 2008)に向けて、米国下院の科学技術委員会で4月16日、公聴会が開かれた。過去3度行われた公聴会(2007年10月2日にナノテク教育、2007年10月31日にナノテクの環境安全影響についての研究に…

ビスフェノールAの健康リスク

昨年来の米国でのビスA騒動は10年前の日本を見ているようだった。ビスAの危険性を煽る本が次々出たり、ビスAフリーのガラス製哺乳瓶が売り出されたり。単純に米国は日本の10年遅れなのか?それともこの動きは日本に再上陸するのか? NTPから"NTP Brief on Bi…

Sunstein氏の新作は待ちに待った"Nudge"

ちょうどamazonから"Nudge"が届いた日に池田信夫blogで"Libertarian Paternalism"というタイトルの記事が出た。昨年12月にSociety for Risk Analysisの年会でもSunstein氏の話(「リバタリアン・パターナリズムは矛盾した言葉ではない」)を聞いたんだけど、…

意思決定にはエネルギーを使う

1日に可能な意思決定の数っていうのは限度があってあまりにもいろんなことを決めなきゃいけない日にはどっかでこれ以上はムリっていうところに達してしまうってずっと思っていたんだけど、Journal of Personality and Social Psychology誌に載ったVohs et al…

東京、ブリュッセル、ニューヨーク。ナノイベント3つ

4月23日に東京でNEDO-産総研-OECD共催の国際シンポジウム「工業ナノ材料のリスク評価」が開催される。有名どころではDuPontの研究所からDavid Warheit氏、米国NIOSHからはVladimir Murashov氏なんかが来日する。 ブリュッセルでは4月17〜18日に欧州委員会主…

Andrew Maynard氏のブログ追っかけ:3月分

3月1日は南極が国際的なナノテク規制のお手本になる?という話。 2月25〜29日にオーストラリアのメルボルンで開催されたICONN2008(2008 International Conference on Nanoscience and Nanotechnology)で報告された、Alan Hemmings氏の"Regulating Nanotech…

Denison氏が指摘するNNIの"ugly"なところ:推進と監視の一人二役の限界

先のNNIの戦略報告書のp.46には"Gaps identified in the research that supports regulatory decision making should not be addressed at the cost of broad-based fundamental research – to do so would ultimately undercut the U.S. nanotechnology ini…

Andrew Maynard氏のブログ追っかけ:2月分

2月1日はラベリングの話。 話題は、BSIが昨年末に発表した9つの文書(3個のガイダンスと6個のターミノロジー)のうちの1つ"Guidance on the labelling of manufactured nanoparticles and products containing manufactured nanoparticles"(「工業ナノ粒子…

ナノデイズと米国NIOSHの活動アップデイト

3月29日から4月6日までは米国で初めての「ナノデイズ(Nano Days)」。主催はNanoscale Informal Science Education (NISE)ネットワーク。大学や博物館などの100以上の組織が参加して、様々なイベントが開催されているようだ。例えばボストンの科学博物館のイ…

米国議会での動きとEPAのNMSP続報

Nanotechnology Law Reportのblog記事によると、米国下院のScience and technology Committeeの議長である民主党のBart Gordon氏が、NNI予算の10%(1億5000万ドルに相当)をナノテクのEHS(つまり環境健康安全)問題に使うという法案を準備しているらしい。…

SWCNTの不純物とか、エイプリルフールネタとか。

Nanotechnology誌に載ったPlata et al. (2008)によると、2005年9月から2006年3月までに米国で購入した10種類のSWCNTsを分析した結果、金属や炭素系の不純物がかなり多く含まれていることが判明(news)。例えば、触媒金属が1.3–29%。ここから言えることは、…