2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ハザード評価とリスク評価,そして総合評価

先日,リスク評価には3種類あって(参照値を決めるためのリスク評価,スクリーニングのためのリスク評価,リスクトレードオフのためのリスク評価),結果をどう使うかによってリスク評価のやり方は変わるという話をした.これに対して昨日,参照値を決めるた…

EPAのオゾン最終スタッフペーパー

とうとう完成したようだ(news).1月31日にウェブに載る(テクニカル文書も続いて載る). Primary standardは8時間平均値で現行の0.08ppm(実質0.084ppm)から,0.060ppm〜0.080ppmの間に強化することを提言(※ちなみにカリフォルニア州は0.007ppm,計測技…

視聴率と影響力の乖離

テレビ視聴っていうのは,数少ない番組の中から,しかも決められた時間にこちらがわざわざ合わせて見なければならないというとても前時代的なシステムなのでしばらく前から生活の中から完全に外すことにした(みんなよくこんなやり方に素直に従っているもの…

気候変動対策で取り残されていくかも・・・

首相施政方針演説では,<「健全で安心できる社会」の実現>の最後の部分にちょっとだけ触れられている.具体的には「バイオ燃料」しか出てこないし,そもそも将来世代に対する倫理観や哲学は全くないし,とても事務的だ.「二十一世紀環境立国戦略」がこん…

米国のTRI改訂の迷走

EPAは2つの改革をめざしていた.1)報告を隔年に,2)報告閾値の引き上げ.ところが両者ともに反対が多く,1)は撤回,2)は500→5000ポンドの引き上げを500→2000ポンドに妥協,というところで最終ルールとした(12月18日).

米国でPMの新環境基準値をめぐって早速提訴

EPAは2006年9月21日,PM2.5の年基準値を15μg/m3のままに据え置き,日基準値を65から35μg/m3に強化するに留めた(link).これは,年基準値の強化を推奨していたCASAC(科学諮問機関)の提案を蹴るという妥協というか苦渋の決断だった.PM10の日基準値は150μg/m…

バイオモニタリング等価

EPAや産業界は,RfDを「バイオモニタリング等価(biomonitoring equivalents)に置き換える試みを始めている.つまり,血中や尿中の濃度でもって曝露量を決める.確かに現実により近くはなる.参考: Hays et al. Biomonitoring equivalents: A screening ap…

ETC Groupによるシンボルマーク決定

482作品のなかから16のファイナリストが選ばれ,最終的に3点が選ばれた.1つ目については誤解を招くという意見も.

カーボン・ニュートラルその他

英マークス・アンド・スペンサーがカーボンニュートラルを宣言 Marks & Spencer launches "Plan A"- £200m 'eco-plan' 2012年までに,1)エネルギー使用量の削減,2)再生可能エネルギーの導入,3)カーボンオフセットによってカーボン・ニュートラル企業になる…

ノルウェー政府と英国政府によるカーボン・オフセット

ノルウェーは公務員が海外に航空機を使って出張する場合に,排出権を購入してオフセットする計画を発表(1月2日BBC).このための費用は年間250万クローネ(約5000万円)で,植林などに投資される. 英国政府はブレア首相と30省庁の大臣が2007年から2009年に…

カーボン・オフセットの規格化

「カーボン・オフセット」の流行を受けて,Defraはその信頼性と透明性を保つための自発的な行動規約(voluntary code of practice)が提案された.文書はコンサルテーションにかけられており,意見募集期間が4月13日まで. http://www.defra.gov.uk/news/200…

水銀対策の費用対効果

ES&Tの論文.石炭火力発電所での水銀対策の1ポンド排出削減費用が$3,810〜$166,000(=1kg排出削減費用が102〜9779万円)で,1kWhあたりの電気料金が0.00014〜0.00392ドル(=0.17〜0.47円)上昇.対策技術は活性炭注入(ACI).

ブッシュ大統領が地球温暖化に言及するか?

23日夜に行われるブッシュ大統領の一般教書演説で,地球温暖化問題に言及する可能性が高まっている(ニュース記事). Foresight Exchangeという予測市場には,米国大統領が2008年4月1日までに一般教書演説に"global warming" という言葉が現れるかどうかと…

バイオエタノールの経済性

バイオエタノール・ジャパン・関西が完成した(ニュース記事).廃木材から自動車用燃料を生産するという画期的な事業だが採算はどんな感じだろう?ということで1リットル生産費用を計算してみた.「総事業費約40億円。年度内に本格稼働し、年間4万〜5万…

ナノ倫理の新ジャーナル

Springer社から新しいピアレビュー雑誌,NanoEthics: Ethics for Technologies that Converge at the Nanoscale(ナノ倫理:ナノスケールで合流する技術のための倫理)が創刊される.第一号は2007年の早い時期に出るそうだ.Springer社のサイトを見ると,「…

地球温暖化と宗教

科学者と福音主義キリスト教リーダーが共同で,ブッシュ大統領と有力政治家たちにメッセージを送った.その中には次期大統領候補も含めれていて,民主党側が,ヒラリー・クリントン(New York州の上院議員),バラック・オバマ(Illinois州の上院議員),共…

炭素の回収貯留(CCS)

排出された二酸化炭素を回収して貯留するという技は,あまり好きになれないが,選択肢から外すこともできないだろう.英国で,carbon capture and storage (CCS) のコストが試算された.DTIから委託を受けたPoyry Energy Consultingが計算したところ,CO2の…

バイオエタノール・ブームをめぐるトレードオフの数々

気候変動対策としてのバイオエタノールの利用は,1つのリスクを下げようとすると,いろいろなところでトレードオフが出現し,リスク削減対策には冷静に全体を見渡す能力が必要であることがよく分かる事例だ.ほんとは,ダイオキシン対策だって,シックハウス…

ナノハザードのシンボルマーク

ETCグループが以前から募集していたシンボルマーク.エントリーは24カ国から500近くに上ったが,コンテストの第一ラウンドが終了し,6人の審査員による独立パネルが審査中.ファイナリストは1月15日にここに載るとあるんだけど,まだ何も出ていない.審査が…

NRCのレビュー委員会からの報告書

OMBは昨年1月9日に,当時のOIRA長官であったGraham氏の置き土産として,リスク評価のガイドライン案を提案した.個人的にはリスク評価の改革の方向性に共感するところも多かった.ちょうど1年経って,National Reserch Council(NRC)のレビュー委員会による…

ナノ倫理

International Journal of Applied Philosophyの2006年秋号がナノ倫理特集.以下に目次. SYMPOSIUM ON NANOETHICS Fritz Allhoff and Patrick Lin, Whats So Special about Nanotechnology and Nanoethics?(ナノテクノロジーとナノ倫理の何が特別なのか?…

NNCOのパブリック・ミーティング

1月4日(木)にNational Nanotechnology Coordination Office (NNCO)主催のpublic meetingが開催された.150人が参加したそうだ.タイトルは,Public Meeting on Research Needs and Priorities Related to the Environmental, Health, and Safety Aspects o…

脳科学や進化生物学の取り込み(AEA年会)

American Economic Associationの2007年conferenceがいまシカゴで開催されている.プログラムを眺めて思うのは,経済学といってもとても範囲が広いことと,新しい分野をどんどん取り入れていること. Session: Decision Theory: New Methods, New Insights …

動物に狩られるリスク

以前紹介したTucker氏のプレゼンでは,ヒトが狩猟採集のライフスタイルの中で進化適応してきたリスクが6種類挙げられていた・・・1)事故,2)生存の失敗, 3)疾病,4)集団間の競争(戦争),5)協力の失敗(ただ乗り),6)父親であること. Donna Hart氏の著書"Ma…

将来予測その2

次は,World Future Societyによる予測.彼らの発行している雑誌THE FUTURISTからの抜粋を引用. 水素燃料電池は2010年までに価格競争力を持つ. サイボーグの時代が間近に(生きた細胞のDNAを使ったバイオコンピューター) 2015年までに,ニューヨーク,東…

Delta Scanの予測

Delta Scanの「ナノテクノロジー」の項には以下の項目が並ぶ. ドラッグ・デリバリーの改善 カーボンナノチューブによる軽量車両 腫瘍学におけるナノシェル革命(化学療法や放射線療法に取って代わる) 生化学ナノコンピューティング プログラムによって自動…

将来予測その1

英国では,Horizon Scanning Centre(HSC)が2年くらい前に設立された.Horizon Scanは,英国DTIのOffice of Science and InnovationのForesightプログラムから出てきたプロジェクト.2005〜2055年に起こる変化とそれらの社会への影響を予測する.2つのパー…