抗酸化サプリメントと死亡率

「ビタミンのサプリ、「延命効果なし」の報告が波紋呼ぶ」(cnn.co.jp)という報道の元ネタはJAMAの2/28号に載った「一次および二次予防のための抗酸化サプリメントの無作為割り付け試験における死亡率:体系的なレビューとメタアナリシス」という論文.アブストを読んでみると,2005年10月までに発表された68の無作為割り付け試験が集められ(参加者合計は約23万人),これらのメタアナリシスを行ったようだ.無作為割り付け試験は疫学調査の中で最もバイアスの少ないスタイルで,そのメタアナリシスだから結果はとても重要.最もバイアスの少ないのは二重盲検(ダブルブラインド),すなわち参加者も医者も誰がサプリメントを飲んでいて,誰が偽薬を飲んでいるのか知らないというもの.68の中からこのようなバイアスの少ない47の研究だけを集めたサブサンプルでも分析が行われた(参加者合計約18万人).
対象となったサプリメントは,βカロチン,ビタミンA,ビタミンC,ビタミンE,セレン.結果は,全体では死亡率への影響はなかったが,バイアスの少ないサブサンプルを対象とした場合,βカロチン(相対リスクRR=1.07, 95%CI 1.02-1.11),ビタミンA(RR=1.16, 95%CI 1.10-1.24),ビタミンE(RR=1.04, 95%CI 1.10-1.07)の3種類のサプリメントで死亡率が有意に増した.単独でも複合でも増加した.ビタミンCとセレンでは統計的に有意な影響はなかった.
Bjelakovic, G. and Nik, D. (2007). Mortality in randomized trials of antioxidant supplements for primary and secondary prevention: systematic review and Mmta-analysis. JAMA 297:842-857.
こういう研究はサプリメント関連企業の株価に影響を与えたりするのだろうか?調べてみてもおもしろいかもしれない.