予防原則のリスク

予防原則を一般的な意思決定ルールとするならば,不確実性下の意思決定全般に適用できなければルールとは呼べない.もし環境問題や公衆衛生問題に予防原則を適用するのならば,国防問題やテロ防止問題にも同じ予防原則が適用されることも良しとせねばならない.つまり,予防原則の典型例である米国の主張する先制攻撃論や国会でも議論されていた共謀罪を認めなければ首尾一貫していない.もし,遺伝子組換え食品に対して不確実性が高いことをもって「予防原則」により禁止を主張し,先制攻撃論や共謀罪には反対するならば,やはり予防原則は「イヤなものはイヤ」原則でしかなかったのかということになってしまう.予防原則を世の中の一般ルールとして主張することにはそういったリスクを伴うことをちゃんと認識する必要があるよなあと最近思う.そんな覚悟があって主張されているのだろうか?もしそうじゃなかったら想像力がとても不足していることになる.