最近のナノ動向

ネット環境が復活.最近のナノテク関係の動きをまとめておく.英国では環境・食糧・農村地域省(DEFRA)による自発的報告スキーム(voluntary reporting scheme)が開始された.また,食品基準庁(Food Standard Agency)でも5月に法規制ギャップの調査結果ドラフトが公表され,コンサルテーションにかけられた(最終報告書はまだ出ていない).米国では環境保護庁(EPA)がスチュワードシップ・プログラムを立ち上げ,プルグラム作成へ向けてさまざまな組織や個人の参加を要請した.また,ナノ材料に関するリスク管理対策に関するパブリック・ミーティング(官報への告示)も10月19〜20日に開催された.同じ米国では,食品医薬品局(FDA)(ナノテクページ)も10月10日に丸一日かけて33人がプレゼンするというパブリック・ミーティングを開催するとともに,局内にタスクフォースを立ち上げ,法規制のあり方について検討を開始した.それに合わせて,ウッドロー・ウィルソン国際学術センター(WWIC)は,報告書「ナノテクノロジー製品を規制する:FDAはそのために必要な手段を持っているか?」(Regulating the Products of Nanotechnology: Does FDA Have the Tools It Needs?)を発表.FDAが権限を持つ製品ジャンルごとに,市場に出る前と出たあとに分けて,段階ごとに評価を行った.その結果,化粧品に対する規制ギャップが大きいこと,医薬品などは比較的監視が行き届いていることが指摘された.また,こうした監視を行うためのリソース(人的および資金的)が著しく欠けていることも分かった.ICON(International Council on Nanotechnology)は,労働環境においてナノ材料を取り扱うための「ベスト・プラクティス」を探る調査「ナノテクノロジー産業における安全対策のレビュー」(Review of Safety Practices in the Nanotechnology Industry)を行っていて,まず既存調査をレビューしたフェーズ1報告書が発表された.タイトルは「ナノテクノロジー労働現場にける環境・健康・安全に関する現行の知識と実践」(Current Knowledge and Practices regarding Environmental Health and Safety in the Nanotechnology Workplace)で,そこに取り上げられた5つの既存研究のうちの1つはぼくも関係したこれ.ICON独自のアンケート調査をまとめたフェーズ2は,11月13日に発表される予定.