エネルギー生産基地としての砂漠

The Guardian紙の記事「どうやって鏡が世界を照らし出すか」.ドイツの2人の科学者(Dr Gerhard Knies and Dr Franz Trieb)がドイツ政府に提出した報告書によると,集光型太陽熱発電(Concentrating Solar Power:CSP)で世界中の暑い地域の砂漠の0.5%をカバーすることによって,世界の電気ニーズを満たすことができると計算した.副産物として,近隣の都市に塩分を除去した海水とエアコンディショニングももたらす.反射鏡で太陽光線を,ガスや液体の入ったパイプに集中させることで,高温にし蒸気タービンを回す.コスト面でも魅力的だという.石油換算で1バレルあたり現在およそ50ドルあたり.反射鏡が量産できれば20ドルまで下がる.これは太陽光発電の半分であり,石油が1バレルあたり60ドル程度である現在,価格競争力を持つ.特に,欧州と中東とアフリカの間で,高圧直流送電(HVDC)グリッドの建設が必要不可欠だ.HVDCの送電ロスは1000kmあたりわずか3%.北アフリカと英国の間を結んでも10%に過ぎない.核融合炉に投資するよりもHVDCの建設の方が有意義だ.Dan Lewis氏の推計では核融合の5分の1のコストで発電が可能だ.彼曰く「核融合はプラズマ物理学者のための雇用創出計画だ」.
報告書の内容はすでにここに日本語で紹介されていた.
感想:不毛の土地であった砂漠がエネルギー生産基地としての価値を持つことになる.太陽光という観点から見ると不毛どころかものすごく豊饒な土地だったのだ!このようにある時点での知識レベルでは価値が低くとも科学的知見の進展や情勢の変化によって新たな価値が付与されることがある.こうしたことの生態系の価値の計算には組み込まないといけない.オプション価値がこれだ.そういえば,Costanza論文(1997)では砂漠1ヘクタールあたりいくらで計算されてたっけ?