カーボンナノチューブの河川水中での動態

ナノ材料の実際の環境中での挙動についてはまだまだ分からないことが多いのだけど,ここで紹介されている研究は,界面活性剤の入った実際の河川水にマルチウォールのカーボンナノチューブを入れると,凝集せずに数日間に渡って分散した状態が続いたという実験.
きれいな水の中では1時間以内に底に沈むが,界面活性剤の中では1日以上浮遊する.しかし,有機物を含む水中では4日間以上濁ったままで,1ヶ月後でも浮遊したナノチューブによって灰色をしていた.このことは,分散したまま長距離を移動する可能性や様々な生態系と出会う可能性を示している.このような環境動態はC60(フラーレン)では観察されなかった.論文はES&Tに掲載