フード・マイルズとフェア・マイルズ

食料品の選択を通してCO2排出量を減らすには,フードマイルズという概念(指標としてはフードマイレージ)は便利だ.食材の輸送量×輸送距離で測られるフードマイレージを小売店が食品に表示するようになれば,消費者はこの数字の小さい食材を買うことでCO2削減に貢献できる.フードマイルズを小さくすることは事実上,地産地消とほぼ同義だ.でもものごとはそんな単純じゃない.トレードオフは何にだってつきものだ.
1つは,フードマイレッジには食材の生産にかかるエネルギーがカウントされていないことだ.地元でハウス栽培されたトマトよりも,海外で露地栽培されたトマトの方が,フードマイレッジ込みでも,使用エネルギーが少ない可能性もある.生産方法でのエネルギー使用量までカウントした指標がほしい.英国DEFRAの報告書"Impacts of food production and consumption "はこうした問題にとりくんでいる(link
もう1つは,途上国で食料を輸出して生計を立てている人たちへの影響だ.フェアトレードという運動が以前からあるが,フェアトレードとフードマイルズが衝突する場面はとてもありそうだ.International Institute for Environment and Development(iied)の報告書""Fair miles"? The concept of "food miles" through a sustainable development lens"では「フード・マイルズ」に対して,途上国の経済を支援するという意味で「フェア・マイルズ」という概念を提唱している.