デュポン社とEnvironmental Defenseのコラボレーション
DuPontとEnvironmental Defenseは,EPAの資金援助を一部受けて,2005年9月からナノ製品のリスクを自主的に評価するためのガイドライン作りを開始した.ドラフトが公開されコメントの募集を経て,6月21日,「ナノリスク・フレームワーク(NANO Risk Framework)」が正式発表された.昨年12月のSociety for Risk Analysisでも,DuPontの人とEDの人が仲良さそうにこのフレームワークについて時間を半々に分けてプレゼンしていた.
フレームワークは6つのステップからなる.便利なワークシートも用意されている.
- ステップ1:材料とその用途について説明する
- ステップ2:材料のライフサイクルにわたる,材料の特性,固有のハザード,曝露可能性を明らかにする
- ステップ3:材料とその用途によるリスクの性質,大きさ,確率を評価する
- ステップ4:ステップ3で評価されたリスクを管理するための利用可能なオプションを評価し,対策を推奨する.
- ステップ5:意思決定し,決定内容と根拠を文書化し,実行する
- ステップ6:定期的にレビューを行い,リスク評価を更新し,リスク管理体系がうまく働いているか確認する
また,このフレームワークを使って3つのケーススタディが実施されている.
- DuPont: Light Stabilizer 210(表面処理された高ルチル相二酸化チタンで,プラスチックに混ぜることで紫外線から保護する機能を発揮する・・・まもなく製品化されるらしい)
- カーボンナノチューブ(CNTs:単層&多層・・・これはまだ製品化されないようだ)
- ナノサイズのゼロ価の鉄(nano Fe0・・・汚染された地下水の浄化への利用が検討されているようだが,製品化はまだ考えていないという)
製品を市場に出す前にきちんと曝露や毒性について調査しておくことは,何よりも企業自身の社内での様々な意思決定に役に立つのではないかと思われる.