Pigou Clubの目指すものは本当にPigouvian Taxか?

Mankiw教授がPigou Club Manifesto(ピグークラブ宣言)とともに,2006年10月,Pigou Club(とそのためのブログ)を立ち上げた.クラブには著名な経済学者や政策専門家がずらり.Bill Nordhaus, Gary Becker, Paul Krugman, Al Gore, Alan Greenspan, Hal Varian, Richard Posner, Joe Stiglitz・・・.ガロンあたり1ドル(毎年10セントずつ)の課税を提案している.つまり,1ガロン=約3.8L,1ドル=約120円なので,1Lあたり約32円となる.先日,FreakinomicsのSteven D. Levitt氏もPigue Clubへの参加を明らかにした.彼はブログに,ガソリン価格の高騰を嘆くのではなく逆に祝おう,そしてガソリン1ガロンあたり1ドルの課税を提案する大統領候補がいたらその候補に投票しよう,と書いた.
しかし,彼らは「ピグー税(Pigouvian Tax)」と言っているが,ほんとうにピグー税を課税するならば,活動の限界外部費用をきちんと推計し,それをそのまま課税しなければならない.通常そのような課税案は,負担が重過ぎるために政治的に実行不可能である.これまでに実施された環境税のほとんどは,税収目的の「ボーモル=オーツ税」になってきた.ここで言うピグー税も正確には後者だろう.ただし,「ボーモル=オーツ税」という呼び方は日本特有のものかもしれない(じゃあ何て言うのか?).