TSCAでナノ材料をどう扱うかについてのEPAの戦略

昨日速報を流したように,EPAが提案したナノスケール材料の管理戦略は2本立てになっている.

  1. TSCAにおいてナノ材料をどこまで扱うことができるか?(→新規か既存か?報告閾値は?)
  2. TSCAから漏れてしまう部分をどうやって拾い上げるか?(→自発的に情報を提供させる仕組みを作る)

まず,提案文書を読むと,前者の工業ナノ材料をTSCAの枠組みで扱う件については,SNURを使うだとかいろいろ指摘されている工夫はいっさいなく,これまで通りのルールを再確認するにとどまり,物質ごとにケースバイケースで判断していくという方針だった.そのため,かなりの工業ナノ粒子はTSCAの枠組みから漏れてしまうことになる.そこで,後者の自発的情報提供プログラムの出番である.今あるものだけを出してもらう基礎プログラムと,新たな情報を生み出してもらう詳細プログラムからなる.ここでの最大の壁は参加インセンティブをどうやった高めるかであるが,あまりアイデアは無さそうだ.英国での失敗があるだけに,今後どのような工夫が提案されるか見ものだ.
とりあえず,前者の提案文書「ナノスケール物質のTSCAインベントリ・ステータス−一般的アプローチ」の仮訳を作ってみたのでpdfファイルで載せておく.原文のpdfファイルはここ.後者の方もぼちぼち作成予定.