カナダにおける新規物質か既存物質かの区別

カナダ環境省から7月,「新規化学物質プログラム勧告覚書:新規化学物質届出規制(化学物質とポリマー)のもとでのナノ材料についての要請」という文書が発表された(html or PDF).簡単にまとめるとこんな感じ.「DSLには載っているけど,新規とみなす」という例が欲しい気がするけど,米国のTSCA解釈とはやや異なる区分だ.
カナダ環境保護法1999の条項のもとで,「新規化学物質届出規制(化学物質とポリマー)」(New Substances Notification Regulations (Chemicals and Polymers))は,すべての新規化学物質に,製造や輸入の前に,環境とヒト健康への潜在的影響についてのリスクアセスメントを実施することを義務付けている.国内化学物質リスト(DSL)に載っているかどうかで新規か既存か決まる.新規ナノ材料にも同様にこれらの法規制が適用される.
この覚書では「DSLに掲載されている化学物質のナノスケール版は,それが固有の構造や分子配列(molecular arrangements)を持っているなら,「新規」化学物質と考えられる」と書かれいてる.そのため,例えばフラーレン(CAS No. 99685-96-8) はDSLに載っていないので,この規制のもとでは「新規」化学物質となる.
逆に,固有の構造や分子配列を持っていないならば既存化学物質とみなされる.例えば二酸化チタン(CAS No. 13463-67-7) はDSLに掲載されており,ナノスケール版でも固有の構造や分子配列を持たないために,この規制は適用されない.