SRA2007予習その4

Specialty Groupの年末活動報告より,2回目は"Dose Response"(用量反応).世話人Dale Hattis氏.毒性影響の個人差に関するデータベースを作成している.
目指している方向は,1)確率的であり,2)作用機序(mode-of-action)に基づく用量反応関係の評価だ.
非発がん影響では,具体的には,種間外挿と個人差について,従来適用されていた不確実性係数を,分布の重ね合わせに置き換えることだ.そこに面白いことが書いてあった.このための最大の障害は次の2つにあるという.1つは,毒性学コミュニティが確率的分析に満足しかつ熟練してもらうこと.もう1つは,リスク管理者が不確実性が非常に高くてゼロじゃない有害性がある場合に意思決定を行う必要があるという考え方に納得してもらうこと.現行のRfDは,曝露がそれを超えたら"risky",超えてないなら"safe"という白黒を付けるものとして扱われてしまっている.これだったら,曝露を下げることによるベネフィットを推計することが不可能になってしまう.Hattis氏はここで,個人の用量反応関数における閾値と集団の閾値(それが無い場合さえある)の違いを強調し,RfDがまるで集団の閾値のように扱われていることに不満の様子.このあたりはまったく同意だ.
発がん影響については,EPAが多くのwhite papersのシリーズへ資金提供しており,それらの結果が今後続々発表されるとのこと.今回の学会でも議論があるそうだ.さらに,別の大きなトピックとしては,PBPKモデリングがある.現在,階層的ベイズ統計テクニックの助けを借りて,大きなイノベーションが進行中なんだそうだ.