2007 SRA Annual Meetingの予習その3

SRAのSpecialty Groupの1つ「意思決定解析とリスク(Decision Analysis and Risk: DARSG)」の世話人Linkov氏。彼は"Multi-Criteria Decision Analysis"(MCDA:多基準意思決定解析)の支持者。最近はナノ材料のリスク評価・管理を研究している。DARSGも彼の色が濃く表れたグループで、MCDAとリスク評価の適用を課題としている。主なテーマは3つ。

  1. リスク情報に基づいた意思決定フレームワーク(RIDF: risk-informed decision-making framework)の、ルイジアナ海岸保護回復プロジェクトとミシシッピ河岸改修プログラムへの適用だ。この話題のシンポジウムがある。
  2. 2つ目は、軍事やテロといった緊急時にリアルタイムに行われる意思決定解析と、じっくり熟慮して行われる意思決定解析の関係についての検討。2007年4月にはNATO主催のワークショップが開催された。グループのメンバーは本にまとめているそうだ。
  3. そして3つ目はLinkov氏も熱心なナノテクノロジーだ。2007年5月には、MITでの「ナノ材料のためのリスク評価:これまでに分かったことと展望(Risk Assessment for Nanomaterials: Current Developments and Trends)」という教育ワークショップをスポンサーした。アジェンダを見ると分かるように、あらゆる話題がコンパクトに1日で学べる。同じ内容のものを日本で開催できたらなあと思ってしまう。また、SRAでは9日(日)のワークショップをスポンサーし、2008年4月27〜30日にはNATOワークショップ「ナノ材料についてのリスク、不確実性、そして意思決定解析:環境リスクとベネフィットおよび新規消費者製品(Risk, Uncertainty and Decision Analysis for Nanomaterials: Environmental Risks and Benefits and Emerging Consumer Products)」がポルトガルリスボンで開催される。NATO開催というだけあって、環境安全保障(environmental security)がキーワードになっている。