ナノ予算に占める「環境安全健康(EHS)研究予算」

「本当はどれだけの予算がEHS研究に向けられているのか」についての米国での議論。まずはPEN(Project on Emerging Nanotechnologies)による分析(pdf)が4月19日付で発表された。NNI(National Nanotechnology Initiative)のFY2008予算のうち、3,770万ドルがEHS研究に使われているとされているが(PENによるEHS研究インベントリ)、PENはこれらを、1)非常に関連がある(highly relevant)、2)かなり関連がある(substantially relevant)、3)ある程度関連がある(some relevant)、4)辛うじて関連がある(marginally relevant)の4つに分類。後の2つは研究の主要な目的がリスク研究でないものを指す。その結果、1)は62プロジェクトで1,300万ドル、1)と2)で163プロジェクトで計2,900万ドルとなった。
他方、欧州では1)に相当する予算が2,400万ドルにもなるそうで、「欧州はナノテクリスク研究に米国のおよそ2倍の予算を使っている」というプレスリリースになったわけだ。
これらの情報は、PENのインベントリのUSAの欄EUの欄で確認できる。それぞれのプロジェクトに上記1)〜4)の分類がなされている。ただし、Japanをクリックしても載っているプロジェクトは2つだけ。これは彼らの問題ではなくて、日本側の不備の問題だ。日本でもEHS予算をチェックして、"highly relevant"な予算額を推計してみなくちゃ。
もう1つはGAO(Government Accountability Office)から4月24日に発表された報告書(pdf)。タイトルは「連邦予算の環境健康安全研究に関するデータの正確性は改善されるべき」というもので、EHS研究とされた119のプロジェクトのうち22はナノテクの環境修復利用やナノテクと無関係なハザード研究だと指摘した。ところで、GAOの"A"はいつのまにか"Accounting"(会計)から"Accountability"(説明責任)に変わっている!おもしろい。