IARCモノグラフにカーボンナノチューブがリクエストされた

これもPoland et al.レターの波及効果ネタ。International Agency for Research on Cancer (IARC)(国際がん研究機関)の「IARCモノグラフ」シリーズは、ヒトにがんを生じさせる可能性のある対象を、1971年以来900件以上とりあげ、そのうちおよそ400が「ヒトへの発がん性あり」あるいは「ヒトへの発がん性の可能性あり」と評価されている。6月17〜20日に開催されたばかりの会議では2010〜2014年に出るモノグラフの優先順位が話し合われた。
将来モノグラフの対象にしてほしい物質(に限らず事象)があれば、(今回の締切は6月10日だったが)このフォームに記入すれば誰でもリクエストできる。で、今回ノミネートされた一覧表を見ればちゃんと、エントリーナンバー11番に「カーボンナノチューブ」が入っている。リクエストした人は2人いて、1人は英国サウサンプトン大学の疫学研究センターのDavid Coggon氏で、もう1人は米国のメジャーな環境保護NGOであるNRDCのJeniffer Sass氏だ。彼女はナノテク担当だ。彼らのリスクエストフォームはそのままpdfで見ることができる。Coggan氏は「ナノチューブアスベストに似た発がんリスクを課す可能性があることが分かってきた」と書いており、Sass氏も、これまでに行われた気管内投与の動物試験とともに、中皮腫に結びつく病変を見出した「新しいデータ」について触れている。公衆衛生的な懸念は「水汚染」にあるとしている。

ちなみに、CNTの他にもリストには旬な物質が並んでいる。様式に基づいたものから、Eメールで物質の名前だけ書いたものまで様々。参考文献リストや実験データまで書き込んだものもあるし、いまどき手書き(読めない!)のものもある。これらは次のエントリーで。