欧州の新しいプロジェクト"Framing Nano"

欧州委員会によって資金提供されているFP7プロジェクトの1つ。ナノテクの責任ある発展のためのガバナンス枠組みを検討する場となる。場当たり的な対応ではなく、ガバナンス枠組みとしてあるべき全体像を検討するというアプローチだ。ガバナンス枠組みの検討は欧州では、IRGCに始まり、本プロジェクトや先日紹介したEU-VRiなど公的なプロジェクトが多い。米国では、ウッドローウィルソン国際学術センターICONなど、民間に近い組織が取り組んでいる。他方、日本では…。
Framing Nanoプロジェクトがやることは次のとおり。

  • ナノサイエンス&ナノテクノロジーに関する世界的な規制プロセス(現行のものと提案されたもの)を収集し分析する。
  • ナノテク関連の規制、リスクベネフィット、社会問題に関する複数のステークホルダーによる国際的なネットワークを確立する。
  • 上記問題へのステークホルダーの態度、期待、ニーズを評価する。
  • 単一の欧州規制モデルのための提案を含む様々な視点からナノテクの安全や規制のニーズに取り組む。
  • 積極的で解決志向の対話プロセスを押し進める。
  • ステークホルダー間で、規制問題に対する協力的な研究プロセスの確立を促す。
  • すべてのステークホルダーへの透明なコミュニケーションを担保する。
  • ナノサイエンス&ナノテクノロジーの責任ある発展のための審議プロセスの枠組みを作る。

そして、期待されるアウトプットは次のとおり。

  • ウェブサイト:ナノテクの責任ある発展に貢献し、ナノテクガバナンスの標点をめざす。
  • 法規制調査:ナノテクに対する世界中の規制プロセス(現行のものと提案されたもの)の包括的な分析を行う。
  • アンケート調査:EUレベルのすべての関連するステークホルダーを特定する。
  • 詳細評価:二段階のデルファイ調査に基づく、ナノテクのガバナンスと規制に関するステークホルダーの重要な問題、態度、ニーズの詳細な評価を実施する。
  • 国際ワークショップ:プロジェクトの目的をコミュニケートし、現況の分析結果を提示し、デルファイ調査について議論するために開催する。
  • ガバナンス計画の提案:ナノテクの責任ある発展を担保するために必要は活動を特定し、それらに優先順位をつける。
  • 最終イベント:提案されたガバナンス計画を提示し、議論するための国際的イベントを開催する。
  • 国内ワークショップ:ガバナンス計画の最終提案を説明するワークショップを開催し、ナノサイエンス&ナノテクノロジー問題の国内レベルでの理解を深める。