Andrew Maynard氏のブログ追っかけ:付加価値と付加リスク

Maynardさんは8月24〜29日までギリシャThessaloniki(ブログではスペルがちょっと間違ってる)で開催されたEuropean Aerosol Conferenceで講演をやってきたようだ。プログラムを見ると、28日の朝のに"Developing responsible nanotechnologies: An Aerosols perspective"と題して1時間の枠がとられている。基本的にはグアダラハラで聞いた話に似てるんだろうけど、副題の"An Aerosols perspective"が気になる。もともとエアロゾルの曝露評価のようなことが専門なだけに内容を聞いてみたい。翌日には"Aerosol Based Nanotechnology - Health Effects"というセッションもある。9月3日のブログには、そこで聞いたBASFのSachweh氏の講演に触発されて考えたことがつらつら書かれている。Sachweh氏は初日の朝の全体集会で""Aerosol processes for high performance nanomaterials - limitations and opportunities"と題する講演を行っている。彼が主張したことは(Maynard氏の言葉では)次の通り。、

「ナノ」はモノや製品ではなく、固有の価値を持っているわけではない。むしろ「ナノ」は価値を付加する。つまり、すでに存在している何かの性質や価値を変えるのだ。

この"added-value"という概念をoversightや規制の観点に応用すると、つまり、リスクの面からみると、"added-risk"となる。"added-value"は意図して加えられるのに対して、"added-risk"は技術の副産物として出てくるという違いがある。そうすると、ナノテクの定義も、1-100nmなんていうサイズベースじゃなくて、"added-risk"があるかどうかというものになる。ただし、ちょっとした懸念はあるとMaynardさんは付け加える。それはナノテクの第二世代、第三世代、第四世代と進んでいくと、複雑で全く新しい材料や技術が出てくると"added-risk"の概念では対処できなくなるよね、と。でも当面は"added-value"と"added-risk"からナノテクを見ることは有益だろう。