Maynard氏のブログ追っかけ:IANH立ち上げの巻

9月9日のエントリは、International Alliance for NanoEHS Harmonization (IANH)(ナノの環境健康安全研究の調和のための国際同盟)の立ち上げの話。タイトルは"Nanotoxicologists sele-assemble"で、これはもちろんナノ粒子の自己組織化の話と、世界中のナノ毒性学者が自主的に集まったという話を掛けたもの。チューリヒで7日から10日まで開催されているNanoTox 2008Second International Conference on Nanotoxicologyの中で9月9日に発表されたそうだ。メンバーは豪華で、NIOSHのCastronova氏、Rice大学のColvin氏、Napier大学のStone氏、Rochester大学のOberdorster氏などなど。日本からは名古屋大学の市原氏とNIMSの宮沢氏の名前が入っている。議長はUniversity College of Dublin(Centre for BioNano Interactions)のKenneth Dawson氏。
IANH結成の目的は、誰がやっても同じ結果が得られるため、つまり再現可能性を担保するためのin vitroとin vivo試験の標準的な試験プロトコルの確立だ。あちこちで勝手に試験が行われ、対立する結果が次々と出てくることで生じつつある混乱が社会受容性に与えるネガティブな影響を与えるんじゃないかという懸念に端を発している。IANHが用いる方法は「総当たり戦(round robin)」だ。複数の参加研究者が、同じ材料(細胞)を使った試験を行って、再現不可能な影響の原因を1つずつ取り除いていき、最終的に信頼できる試験方法を確立し、試験結果の一致を目指す。特に、中立性・客観性が重視され、「同盟はナノテク分野の政策について骨組みを作ったり、議論したりすることは決してしない」とも明言されている。
具体的なプロジェクトは、現在、金、二酸化チタン、二酸化セリウム、酸化亜鉛、ポリスチレン、銀、多層カーボンナノチューブの7物質について進行しているようだ。ただし資金はまだ集まっていないと書かれている。