Andrew Maynard氏のブログ追っかけ

最近ペースが上がってなかなか追いつけない。

9月30日はSynthetic Biologistたちの話

Esquire誌が10月号で特集された21世紀の最も影響力のある人々の中に科学者が5人挙げられていて、そのうちの3人がSynthetic Biologistだという話(Jay Keasling, 38歳のDrew Endy, そしてあの有名なCraig Vender)。Maynard氏はこの日、夕方にBarnes and Nobleで購入したらしい。まず目を引いたのが、表紙が"e-ink"の特別仕様だったこと。ちなみに日本版のEsquire誌は全然内容が違うみたい。

10月5日は、ナノテクも"silent rave"みたいなもんじゃないの?の話

どうも"silent rave"というものが欧米で流行っているらしい。"rave"というのは大音量でかかる音楽に合わせて集団で踊る(暴れる)イベントだけど、それに"silent"という形容詞がつく。要するに、ある場所に集まるんだけど、各自でiPodを聞きながら勝手に踊っているイベントなのだそうだ。Maynard氏はこの話を聞いて、ナノテクなんかの新興技術のコミュニティも"silent rave"みたいなもんじゃないの?という思いに至ったというネタ。つまり、いろんなステークホルダーがそれぞれのフレームで発言しっぱなし("mental iPods"を聞き続けて)で、他人の話に聞く耳を持たないという状況とそっくりだってこと。

10月6日は油井の操業期間を2倍にするMWCNTゴム複合材の話

油井の深さはパイプをつなぐゴムシールの強度に依存する。現在のゴムシールは175℃/140メガパスカルだけど、信州大学の遠藤教授のチームが開発した、MWCNTをゴムシールに入れた複合材によって260℃/240メガパスカルまで使うことが可能になった。その結果、油井の操業可能年数は40年から80年に延びる。サイズは極小だけどインパクトは莫大だという事例。記者会見が行われたようで、Maynard氏は中日新聞の日本語記事にリンクを張っていたようだが今ではリンク切れ。他に報道は見当たらず、2009年になってここでかろうじて日本語記事を発見。

10月10日は香港でのSynthetic Biology 4.0に参加した話

Synthetic Biology 4.0は、10月10〜12日に香港科学技術大学で開催された。Kim Stanley Robinsonの小説の中にいるような奇妙な気分になったという。特に有名な「火星三部作」なんだそうだ(読んでみなくては!)。会議には、Global Social Impactというセッションがありう、ETC GroupのPat Mooney氏が議長をしている。まだ実現するかどうか分からない初期の段階でこうした様々な分野の人たちが集うようなやり方はこれまでなかったし、社会に実装されるような段階になってもこうしたパートナーシップが続くに違いないと期待する!

10月14日はISOでの議論が進んできたぞという話

タイトルにある"alphabet soup"というのは政府機関や国際機関で使われる略語だらけの文章のこと。2005年に生まれたISOのTC229から2008年後半になって報告書が発表され始めた。まず9月に、定義を定めた"Nanotechnologies―Terminology and definitions for nano-objects―Nanoparticle, nanofibre and nanoplate" (ISO/TS 27687)が出た。"nano-obejects"という概念を上位に持ってきたことが賢い。その下に、"nanoparticle", "nanoplate", "nanofibres"を位置づけた。
続いて10月に出てきたのが、"Nanotechnologies―Health and safety practices in occupational settings relevant to nanotechnologies" (ISO/TR 12885)。これはNIOSHの"Approaches to Safe Nanotechnology"をベースにしている。Maynard氏は、Nano Risk Frameworkやcontrol bandingに触れていないという不満を述べている(注:両者とも個別にTC229のWG3に提案されている)。また、すでに類書が何点かある(ASTMから2007年10月、BSIからは2007年12月、先にもふれたNIOSHからは2005年10月)。