オーストラリアでの皮膚がんvs.ナノリスク

オーストラリアはいま夏だということもあって盛り上がっている(記事)。年間1600人が皮膚がんで死亡しているオーストラリアでは「予防原則」の位置づけも違ってくる。サンスクリーンに含まれている二酸化チタンと酸化亜鉛の危険性を指摘し、予防原則(つまり、ナノ粒子の使用をやめること)の適用を主張するFriends of the Earth Australiaに対して、Therapeutic Goods Administration (TGA)やCancer Councilは、逆に、FoEに対して、紫外線の皮膚がんリスクよりもナノ粒子のリスクが上回ることを証明せよと主張する。予防接種や水道水の塩素消毒なんかに見られる、リスクトレードオフ状況下では予防原則の意味がよく分からなくなるという典型的なパターンだ。ただし、この構図はちょっと違ってて、サンスクリーンにナノ粒子を使わないという選択肢もある。実際、オーストラリアの68ブランド中、21ブランドはナノ粒子を使っていないと言っているそうだ。FoEの"Safe Sunscreen Guide"ではブランドを、"NANO-FREE", "MIGHT USE NANO", "USE NANO"の3グループに分類している。3番目のグループはThe Body Shopのみ。L'Orealは、一次粒子はナノだけど凝集しているから"nano-free"だと回答したらしいがさすがに同意できないということで2番目のグループに入れられている。