ナノ粒子への曝露によって労働者が死亡したとする論文の発表とそれへの素早いコメント

European Respiratory Journalの9月号に、"Exposure to nanoparticles is related to pleural effusion, pulmonary fibrosis and granuloma"(ナノ粒子への曝露が胸水、肺線維症、肉芽腫と関連がある)という論文が掲載される。この論文では、中国の工場でナノ粒子に13ヶ月曝露した18〜47歳の7名の女性労働者が、タイトルにあるような呼吸器系疾患で入院し検査を受けたところ、胸液中にナノ粒子が検出され、細胞中にも見られたという。そのうち19歳と29歳の2名が死亡した。論文の中身が読めないため、ナノ粒子については、「ポリスチレンに噴霧されるポリアクリル酸塩に含まれている」としか書かれていない。
この論文に対して、Rice大学のKulinowsky氏はさっそくコメントを発表している。通常の換気システムや個人用保護具が利用可能であれば防ぐことができた事故であり、30nm程度のナノ粒子の吸入を防ぐには、その辺のホームセンターで売っているレベルの安価なマスクを適切に利用すれば回避できる、と。Kulinowsky氏は、ナノ材料の安全な取扱いに関するオープンソースwikiであるGoodNanoGuideの主催者であり、過度のナノフォービアを未然に防ぐための素早いコメントを発表した。