BASFがMWCNTのラット90日間吸入曝露試験の結果を発表

たぶん初めてCNTの90日間吸入曝露試験の結果が査読付き論文の形で発表された(リンク)。実験はBASF社の研究者によって実施されたが、評価対象はNanocyl社の商品であるNMCNT。曝露装置もBASF社が大学と共同で開発したものを使っている。アブストしか読んでないが、当初挙げられていた欠点が克服されたようで「チューブの構造を破壊することもなく、表面に活性酸素(ROS)を増加させることもない」と書かれている。最低用量である0.1mg/㎥でも影響が出たことになっており、当初のもくろみであったNOAELの設定ができなかったことが正直に書かれている。ただ、影響エンドポイントとして挙げられている「わずかな肉芽腫性炎症」がほんとうに懸念すべき有害影響であるのかどうかは、ここからだけでは分からない。

  • 評価材料:MWCNT(Nanocyl NC 7000)
  • 評価方法:OECDテストガイドライン413 "Subchronic Inhalation Toxicity: 90-day Study"に準拠
  • 動物:Wistarラット
  • 曝露装置:"head-nose"exposure
  • 試料調製:独自開発の "brush generator"でエアロゾル製造
  • 曝露期間:6時間/日、5日/週、13週間
  • 曝露濃度:0(対照), 0.1, 0.5, 2.5 mg/㎥
  • 結果:0.1 mg/㎥でも肺やリンパ節にわずかな肉芽腫性炎症
  • 無毒性量(NOAEL):最低用量の0.1 mg/㎥でも影響が出たため設定できず