吸入したMWCNTがマウスの胸膜下組織に到達

Nature Nanotechnology誌のオンライン版に「吸入したカーボンナノチューブがマウスの胸膜下組織に到達」というタイトルの論文が掲載された。North Carolina州立大学のグループによる。これまでは腹腔内に投与したMWCNTの影響が議論されていたが、本論文は吸入曝露でも同様な影響が起きることを示唆している点で重要。さらに、対照として、ナノサイズのカーボンブラックを吸入させた場合と比較し、また、MWCNTについても1mg/m3と30mg/m3を比較し、用量反応性も検証している。ただし、論文自体は読んでないので、ナノチューブの形状や不純物などは未チェック。アブストの仮訳は以下のとおり。

カーボンナノチューブは繊維状の形をしており、マウスの腹腔に投与した場合に腹膜の表面に炎症を起こしうることが、吸入したナノチューブも胸膜に線維症や中皮腫を引き起こすのではないかという懸念を生んでいる。本論文では、30mg/m3で6時間吸入させた多層カーボンナノチューブがマウスの胸膜下に到達することを示す。ナノチューブは、壁側胸膜の中や胸膜下のマクロファージ内に埋め込まれていた。胸膜表面における単核細胞の凝集体の数やサイズが1日後に増加し、ナノチューブを含んだマクロファージがその中に観察された。このナノチューブ形態に特有の胸膜下線維症が、吸入の2週および6週後に増加した。これらの影響は、カーボンブラックナノ粒子や低用量(1mg/m3)のナノチューブを吸入したマウスには見られなかった。本研究からは、さらなる長期にわたる評価が実施されるまでは取り扱い中のナノチューブの吸入を最小にすることが賢明であることが示唆される。