オーストラリア政府が「新規技術の安全な開発のための戦略(NETS)」を策定
オーストラリア政府が、2月22日、新規技術の安全な開発のための包括的フレームワーク、"National Enabling Technologies Strategy (NETS)"を提案した(リンク)。新規技術が社会に出て行くためには、環境・安全・健康(HSE)リスクがきちんと管理されていることが必要不可欠だという正しい理解に基づく。逆に言うと、どれだけ立派な研究開発を行っても、HSEリスクがきちんと管理され、そのことがエビデンスを持って示されないと、技術は受け入れられないということ。要するに、国レベルで新規技術のテクノロジーアセスメントをしっかりやって、競争力を高めていこうということだ。計測技術や標準化の話まで視野に入れているところもすごい。ナノテクノロジーとバイオテクノロジーが挙がっているけど、記事によると、具体的には、先進医薬品、高速コンピューター、新規バイオ燃料、強度&軽量な材料、太陽電池、新規食品、水浄化などが挙げられている。
テーマは次のとおり。
- 国全体でのアプローチであること(広範囲のステークホルダーの参加)
- リスクとベネフィットをバランスすること(環境・安全・健康影響&社会・経済・倫理的影響を考慮)
- 計測能力を高めること(国家計測研究所の能力アップ)
- 国民の参加を促進すること(参加、調査、教育、情報交換)
- より良い未来のための技術を利用すること(グローバルな課題の解決)
- 将来のために計画すること(技術予測、法規制ギャップ調査)
期待されるアウトカムは次のとおり。
- 新規技術の影響・機会・課題について、政策意思決定者にタイムリーで正確な情報を提供。
- ナノテクノロジーに基づく製品・工程・サービスの理解を通した競争力の向上。
- 公衆衛生・安全・環境への影響を管理しつつ、過度に技術進歩を妨げないような効果的な規制フレームワーク。
- 世界クラスの生体計測&ナノ計測能力の基づく、新規技術の効果的な規制と産業利用の促進。
- リスクベネフィットと管理のノウハウのより良い理解を通した、新規技術を利用した製品やサービスへの国民の信頼。
- 新規技術に対する国民の関心への政府、研究者、産業界の理解促進。
この戦略には4年間で3820万ドル(=30億円以上)の予算がついた。内訳は次のとおり。
- 政策や規制の策定、産業界の理解促進、国際的議論への参加、戦略的な研究(1060万ドル)
- 新規技術の理解促進のための一般人の意識向上や参加(940万ドル)
- 国家計測研究所(NMI)が、計測インフラ、標準化、専門的知識の増進と、国際的なリードを保つため(1820万ドル)