トリアージ

総務省消防庁の「救急需要対策に関する検討会」が報告書をまとめた(まだウェブには載っていない)という日経新聞3月29日の記事.

急増する救急車の出動要請に対応するため,総務省消防庁は通報が来た順に患者を運んでいるのを改め,症状が重い患者を優先的に病院に搬送する方式に切り替える.

予算や資源に制約がある世の中に住んでいる以上当たり前のことで,安全や健康の文脈において,効率性がタブーになってはいけない.ただ,少し気になるのは,トリアージという言葉が,安易な救急車要請を断ることができるようにするための理論武装(?)として使われているように思えるところ.大きな視点から言うと,限られた資源から最大の効果を得ること,というのが大目標であり,トリアージを導入するならば,そのときの「効果」の指標は何かっていうのが次に問題になってくるはず.これはすべての生命リスク管理に言えることで,要は,救命人数か獲得余命年数かという問題だ.臓器移植の優先順位を付けるという問題でも同じ問いに答えなければならない(さらには疾病の原因についても考慮すべきかどうか検討しないといけない).この先には,例えば,「災害現場において,同じ症状の高齢者と子供でいる場合,どちらを優先して搬送するか?」というシビアな問いも待っている.