「ゼロリスク」は問題なのか?

リスク論のイントロとして,「ゼロリスクはありえない」みたいな論調から入る場合がある.しかし,「ゼロリスクを求める」=「リスク論を分かってない人」のような構図はあまり望ましくない.事実上のゼロリスクを求めること自体は,もしそのための費用があまりかからないのなら問題ない.問題は優先順位を付けるという発想の欠落にあるのであって,ゼロリスクを求めること自体が悪いのではない.いわゆる「リスクコミュニケーション」においても一般市民に「ゼロリスクはありえない」という説明をするよりも,世の中にはお金と時間が有限であるために,優先順位を付けてリスクを減らしていかなければならないのだ,という説明をする方が正しいし,有益だ.