リスク評価とLCIA

Human and Ecological Risk Assessment Vol.12, No.3 June 2006は,特集「ヒトおよび生態リスク評価LCA:相互関係,対立点,将来の方向性」.その中に,リスク評価とLCIA(ライフサイクル影響評価)の関係を論じた論文があって,両者の特徴をテーマごとに比較した表が載っている(p.502).そのうちの1つに「安全側アプローチ vs. 比較アプローチ」という項目があって,LCIAは「・・・過度に安全側のシナリオではなく,現実的なシナリオで比較を行う方が良いだろう」と書かれているのに対して,リスク評価は「リスク評価の目的は安全側で予防的であることなので,モデリングには過度に予防的なデフォルト値や仮定が含まれてもよい」とある.
しかし,これからのリスク評価は,異なる化学物質,異種のリスク,リスクと費用などを比較するために用いられる場合も多くなる.そうした場合には,「過度の安全側」の推計値では役に立たない.公平な比較ができないからだ.まさに,現実的な仮定(もちろん,ばらつきや不確実性には分布などを用いることで対処する)のもとで計算されるリスク評価というものが求められている.となるとそれは,既存のリスク評価とLCIAの統合(いいとこ取り)という感じになるのだろうか?