フィンランドの公式VSL

フィンランドでは,「社会的支払意思額(social willingness to pay)」と呼ばれる人的資本アプローチが用いられていた.交通通信省(Ministry of Transport and Communications)がVTT Communications and Infrastructure社に交通事故に起因する生活の質の損失費用を推計する手法の文献レビュー調査を委託した.調査の結果,フィンランドで用いられている方法は理論的に妥当でなく,新しい方法に取って代わられるべきであると結論した.これを受けて,Tervonen (1999)においてWTPに基づく方法が推薦され,スウェーデンの値を調整なしに直接フィンランドに便益移転し,VOSLとして871万マルカ(FIM)(現在はユーロ)が提案された.これに,社会にとっての生産損失250万FIMと物的損失46300FIMを合わせて,死亡1件回避便益は1126万FIMとなった.