テクノロジー・アセスメント

「テクノロジー・アセスメント」はずいぶん手垢が付いた古い言葉だけど,復権させる手はないだろうか.「リスク・アセスメント」や「環境アセスメント」は,物質や技術が社会に与える可能性のある影響の1つを取り出して評価するものであって,その物質や技術の全体を評価するものでない.「リスク」だって,「環境」だって,対象とする事業や物質や技術の持つ1つの側面しか見ていない.意思決定には全体像の評価が必要だ.そもそも,「リスク・アセスメント」や「環境アセスメント」が生まれたのは,「リスク」や「環境」がもともとの評価から無視されがちだったため,わざわざ取り出して強調する必要があったからだ.そうならば,これらが定着してきたら元の全体評価に戻してやらないといけない.いまはそんな時期にさしかかってるように思う.そうしないと,本末転倒になってしまう.「リスク・アセスメント」に基づいて「リスク・コミュニケーション」,「環境アセスメント」に基づいて「環境コミュニケーション」を行うってことになっているけど,一歩間違うと,「リスク」や「環境」だけを見て意思決定をせよという話になりかねない.じゃあどういう用語がいいのかというと,化学物質なら「物質(サブスタンス)アセスメント」,技術なら「技術(テクノロジー)アセスメント」,事業なら「事業(プロジェクト)アセスメント」でいいんじゃないかなあ.