リスク評価と持続可能性

EPAからの依頼で,National Academy of Sciences(NAS)は,EPAのリスク評価プロセスの改善のための勧告を準備中.1983年に出たリスク評価の古典である通称Red Bookを乗り越えるという位置付けもある.新たな視点は,持続可能性(Sustainability).EPAはすべての活動にSustainabilityの視点を組み込むことを目指している.そこで問題になるのが,リスク評価というやや狭い視点と,持続可能性というものすごい広い視点をどうやって統合するのか,ということだ.長期的な視点をリスク評価に盛り込むとか,そんな感じだろうか?
NASのプロジェクト名は,"Improving Risk Analysis Approaches Used By the U.S. EPA"で,2006年11月からすでに6回のミーティングが開催されている.会議はクローズドで,期間は2年間.勧告は短期(2-5年)のものと長期(10-20年)のものの2種類出されるようだ.検討に上っているアジェンダはこんな感じ.

  • リスク解析において確率的解析を増やす
  • デフォルトの仮定に科学的な基礎付け/デフォルトの仮定の代替手法
  • 不確実性の大きさを定量
  • マルチプル曝露や混合物に起因する蓄積リスク
  • 感受性のバラツキ
  • 用量反応関係のための生物学的な作用機序・定量
  • 環境移行運命モデル・曝露モデル・PBPKモデル・用量反応モデルの改善
  • 生態リスク解析の概念や実践がヒト健康リスク解析の参考になる?逆は?
  • 不確実性係数の導出の科学的基礎
  • 研究の優先順位を付けるために,情報の価値解析等の手法を使う