NASによるオゾン影響の定量化と金銭評価のパネル

全米科学アカデミーNAS)は,"Estimating Mortality Risk Reduction Benefits from Decreasing Tropospheric Ozone Exposure"(対流圏オゾン曝露を削減することによる死亡リスク削減便益の推計)というパネルを立ち上げた.リスク削減効果の定量化とその効果の金銭価値化がテーマだ.委員は14名,金銭価値化の専門家としては,Lauraine G. Chestnut氏,A. Myrick Freeman III氏,Alan J. Krupnick氏らがいる.

  • 第1回は3月29日に開催され,オゾン曝露のマルチシティ研究とメタアナリシスを実施した疫学者であるYale Univ.のMichelle Bell氏,EPAからは経済学者のAl McGartland氏とBryan Hubbell氏,VSLなどの金銭価値化の専門家であるHarvard Univ.のJames Hammitt氏がそれぞれプレゼンを行ったようだ.
  • 第2回は5月10日に開催され,生物統計学者のKiros Berhane氏による疫学の統計学的な話,医学者であるJohn Balmesからはオゾン曝露による健康影響の発症メカニズムと遺伝的感受性の話,疫学者であるIra Tager氏からオゾン曝露の子供と若者の肺の発達に与える影響の話,そして,経済学者のJ.R. DeShazo氏からは金銭価値化の話がプレゼンされたようだ.
  • 第3回は7月9日に予定されており,疫学者のJoel Schwartz氏が刈り取り効果(harvesting)の話をプレゼンすることになっている.

ここでの議論は,EPAによるオゾンの新NAAQS提案のRIAにとって大きな意味を持つのだが,プロジェクト期間は2006年9月21日から18ヶ月であり,出版前版ができるのが2007年12月21日の予定となっている.オゾンの新NAAQSの最終案に間に合うかどうか微妙であり,このことが,最終案の内容に影響するかもしれないし,少なくともRIAにおける死亡リスク削減便益の扱いは小さくなる可能性が高い.