邦題は最悪だけど"Fatal Contact: Bird Flu in America"はお薦め!

ここで触れた米国ABC TVが2006年5月に制作したテレビ映画"Fatal Contact: Bird Flu in America"を借りて見た。NHKのテレビ映画とは比べものにならないくらい良くできた作品だ。パンデミック時における政治家、医療従事者、科学者、母親といった様々な立場の人の決断について考えさせられる。残念な邦題のせいで、このままではほとんど人の目に触れることがなさそうなので微力ながらもここで宣伝しておく。YouTubeにも断片的に映像がある。
タイトルを直訳すると「死に至る接触アメリカの鳥インフルエンザ」となる。残念な邦題は「バード・インフェルノ 死鳥菌」。ツッコミどころが多い。有名パニック映画「タワーリング・インフェルノ」からの連想だろうが、インフェルノ(inferno)とは「猛火、烈火、地獄」という意味だ。「タワーリング…」の方は高層ビル火災なので良いのだけど「バード・インフェルノ」って何だ?鳥火災?鳥地獄?そして死鳥菌って…。新型インフルエンザというリアリティがあるネタを題材にしていることが重要なのに、これじゃあB級のSFドラマだ。残念すぎる。妻夫木主演で製作が発表された「感染列島」(安易なタイトルだなあ)はどんなストーリーになるんだろうか。
"Fatal Contact"では具体的な地名がたくさん出てくる。ヒトからヒトへ感染する変異が起こった場所は香港。工場に視察に来た男が、そこの労働者から感染し、最初にアメリカへ運ぶ。住まいはVirginia州。さすが地方分権の国で、最初の段階で対応は州知事に任される(大統領はまったく出てこない)。そこでVirginia州知事の行動が鍵となる。映画の終わり方も、第一波ハッピーエンドじゃなくて、すごい余韻を残した形だ。場所はアンゴラ。毒性を増した変異菌の発生が示唆され、これから起こる強烈な第二波のパンデミックを予感させて終わる。