Andrew Maynard氏のブログ追っかけ:3月分
3月1日は南極が国際的なナノテク規制のお手本になる?という話。
2月25〜29日にオーストラリアのメルボルンで開催されたICONN2008(2008 International Conference on Nanoscience and Nanotechnology)で報告された、Alan Hemmings氏の"Regulating Nanotechnology In Antarctica"(南極でナノテクノロジーを規制する)についての感想。確かに、何もない状況から国際的に協調して規制枠組みを作っていくというプロセスは参考になる点もあるだろう。でも、これは、タイトルのとおり、南極でのナノテク規制という話のようでかなり突飛だ。この会議では健康安全(Health and Safety)というセッションがあり、Maynard氏も"Are we driving blind into a nanotech future? Rising to the challenges of developing safe nanotechnologies"(我々は盲目にナノテクの未来に突き進んでいくのか?安全なナノテク開発の挑戦を乗り越える)という招待講演を行った。
3月6日は21世紀の「スマート・サイエンス」。
National Academy of Engineeringが最近発表した14の「グランド・チャレンジ」に触発されたエッセイ。ちなみに14のグランド・チャレンジは次の通り。
- Advance health informatics
- Advance personalized learning
- Develop carbon sequstration methods
- Engineer better medicine
- Engineer the tools of scientific discovery
- Enhance virtual reality
- Make solar energy economical
- Manage the nitrogen cycle
- Prevent nuclear terror
- Provide access to clean water
- Provide energy from fusion
- Restore and improve urban infrastructure
- Reverse-engineer the brain
- Secure cyberspace
こうした課題の解決には新しい科学技術が必要で、ナノテクノロジーもその1つ。21世紀には新しいスタイルの科学"smart science"が必要になるという話。
3月14日はNIOSHとナノテク。
NIOSHの発表した戦略プラン(draft)に対して、戦略を何たるか理解しており、それを達成するための道筋も明確であるとして絶賛(目次を見るだけでも、"inputs", "activities", "goals", oustputs", outcomes"など理路整然としていてかっこいい)。ただしその一方で、その計画を達成するための予算が絶対的に不足している点を指摘。まず、NIOSHは4つのゴールを設定。
- ナノ粒子とナノ材料が労働関連の傷害や疾病にリスクを課すかどうか見極める。
- ナノテク製品を応用することで労働関連の傷害と疾病を防ぐための研究を行う。
- 規制、勧告、能力構築を通して健康な労働現場を促進する。
- ナノテクの研究とガイダンスに関する国内および国際的な協力を通して世界の労働安全衛生を高める。
そしてこれらを達成するための33の中間ゴールとパフォーマンス測度が提案されている。2006年の見積もりでは年間2000万ドル必要であるとされたにもかかわらず、現在500万ドル程度にすぎない。
3月19日はサイエンス・ヒーローの死。
Arthur C. Clarke氏が90歳で亡くなったことに関して、初めてナノテクの可能性に触れたのが、ティーネイジャーの頃に読んだThe Fountains of Paradise (1979) に出てきた宇宙エレベーターだったと回顧。最近また読み返してみると、社会と技術のインターフェイスを描いたものとして理解できたとのこと。Clarke氏は当時からすでに科学技術は社会の文脈の中に位置づけていたいたのだ。
3月28日はナノテク危機に直面する町。
その町は、先日紹介したテレビ番組"Nanotechnology: Power of Small"に出てくる架空の町、Sunnyville。