2つのQと3つのS:2nd World Congress on Risk参加報告その3

Maynardさんのプレゼンタイトルは"Towards "safe" nanotechnologies―where do we want to be, and how will we get there?"(「安全な」ナノテクノロジーに向けて−どこに行きたい?そしてどうやってそこに辿りつける?)だった。ツカミは、2つの質問。実は昨年秋にミシガン大学であったシンポジウム(彼のプレゼンのタイトルは"Developing socially acceptable nanotechnologies"でvideoも見れる)ではツカミは3つの質問だった。
2007年秋の3つのQは;

  1. Whay nanotech?
  2. Why should be worried about?
  3. What can we do?

そして今回の2つのQは;

  1. Where do we want to go?
  2. What is slowing us down?

このパターンはMaynardさんのお好みらしい。どっかで使ってみようかな。
これに加えて、ナノテクの特徴を3つのSで示すというネタも続いた。3つのSはすでにラジオ番組で披露したものだ。Maynardさんが"Smallness", "Strangeness", "Sophistication"と言ったあとで、電話参加のVicki Colvinは、"Sophistication"には同意できなかったようで代わりに"Important"と言った。今回は3つのSを映像で見ることができてよく分かった。"Smallness"、つまり通常のサイズだと入らないところにも入っていくことを分かりやすく説明するために、他のクルマと違う向きにコンパクトに路駐するSmartの写真が使われていた。うまい!
もう1つMaynardさんが強調してたことは、ブログにも書かれていた「デカップリング」のことだ。彼もメンバーである"Project on Emerging Nanotechnologies"ではきちんと複数形になっているし、講演のタイトルもいつも複数形だ。毒性だっと曝露可能性だって、ナノ材料ごとに違うのに、単数形扱いしてしまうと、ごく最近もあったように「遺伝子操作され癌になりやすくなったマウスの腹腔に多層カーボンナノチューブを投入したら中皮腫が見られた」という話から、「ナノ材料は危ない」に直結してしまう。Poland et al.のように長さが重要なのだとしたら、それを管理すればよいし、ライス大学が研究しているように、デザインによって毒性の強さをコントロールすればよい。「ナノテクノロジー」と言ってひと括りにすることは、当初知名度を高めることには役に立ったが、リスクの話になるとその弊害が目立つようになる。