Andrew Maynard氏のブログ追っかけ(やっと追いついた!)

6月28日は銀ナノ粒子は本当に消えていたという話

2007年12月15日のブログ「クマのベニーちゃんと消えたナノ粒子の件」でMaynardさんは銀ナノ粒子を抗菌剤として使ったクマのぬいぐるみからナノ表示がなくなったことを指摘していた(ここでの解説)。ところが、先日、本当に銀ナノ粒子の使用をやめていたことが判明した。Maynard氏も出演したNPRのLiving On Earthの"Small Technology, Big Questions"に、ベニーを作っている会社の関係者がインタビューに答えて、リスクや規制や社会受容性についての不確実性を懸念して使用をやめたことを明らかにした。
そしてMaynardさんは、同様な理由でナノテクへの投資にしりごみしている会社がほかにどれくらいあるのだろう?と思いを巡らせる。
企業が急速に予防原則的になっているのは日本でも同じだ。DuPontみたいな企業がいない分、日本ではもう全体が後ろ向きになっているといえるかもしれない。グアダラハラでの講演ではまさにこの点を指摘した。ベニーちゃんを作っていた人が指摘した3つの不確実性、すなわち、リスク・規制・社会受容性の不確実性、これらをすべてクリアしないとビジネスは成り立たない。ここで事業者が攻めの姿勢をとることができるかどうかがナノテクの責任ある発展につながるかどうかのカギなんじゃないかと改めて思う。もちろん行政や公的研究機関のサポートと、一般の人達のリテラシー向上も同時に必要ではあるけど。

7月3日はJohn Howard氏引退の話

NIOSHのトップであり、ナノテクの労働安全に対して尽力してきたHoward氏の契約が延長されなかったため(次期director募集のpdf)、NIOSHの体制が維持されなくなるのではないかと危惧しているという話。杞憂に終わればいいんだけど、とMaynard氏。彼もウッドローウィルソン国際学術センターに来る前はNIOSHにいて、Howard氏のもとで働いていたのだ。