論文「構造的欠陥が多層カーボンナノチューブの急性肺毒性に大きな役割を果たす」

2008年10月29日付けのEDFのCal Baier-AndersonのBlog記事「A.長さ、B.金属、C.酸素、D.表面、E.これらすべて?」は、CNTの有害性に影響する物理化学的特性について、Chemical Research in Toxicology誌の9月号に載った2本の論文を紹介している。アブストだけ読んでみた。
タイトルは"Structural Defects Play a Major Role in the Acute Lung Toxicity of Multiwall Carbon Nanotubes"(構造的欠陥が多層カーボンナノチューブの急性肺毒性に大きな役割を果たす)で、1本目のFenoglio et al.には"Physicochemical Aspects"(物理化学的側面)、2本目のMuller et al. には"Toxicological Aspects"という副題が付く。
すりつぶしたり、熱したりして、不純物や構造を改変したMWCNTが対象で、それらの毒性を、in vivo(ラットへの気管内投与の3日後のBALFと60日後の組織観察)とin vitro(ラットの肺胞上皮細胞を使った遺伝毒性試験)で試験したもの。結果は、加熱によって毒性が減るが、すりつぶしによって回復するというもの。"欠陥(defects)が(ヒドロキシルラジカルの消去能を通して)CNTの毒性を決める重要要因の1つであることを主張しているようだ。