工業ナノ材料の強制的な報告制度を提案

フランスではサルコジ大統領のもと、「環境グルネル」という環境懇談会が2007年に実施され、そこでまとめられた報告書に基づいた法案が2008年4月に提案された。これは2つに分けられ、最初の「環境グルネル第1法案」が2008年10月にフランス議会で可決された。そして、続く「環境グルネル第2法案」が2009年1月7日に閣議に提出された(EICネットの記事、フランス語の要旨、フランス語の本文)。対象は6分野(交通、エネルギーと気候、生物多様性、リスク、健康と廃棄物、ガバナンス)で、現行の「環境法典(code de l'environnement)」への修正提案という位置づけのようだ。
なぜこれがナノリスクに重要かというと、第2法案の中で、工業ナノ材料の強制的な報告制度が提案されているからだ。それも物質の名前等に限らず、毒性や曝露に関する情報もセットで提案されている。Google Translateを使って英訳してさらに和訳してみた。Title 5(リスク、健康、廃棄物)のChapter 2(その他の健康へのリスクを示すもの)のArticle 73に書かれていることは次の通り。

環境法典のPart VのTitle II「化学物質とバイオサイド」の中に、第3章を追加して、ナノ粒子状態の物質に関する条項を新たに設ける。第3章のタイトルは「ナノ粒子状態の物質への曝露による健康と環境へのリスクの防止」として以下の項目を加える。

  • Article L. 523-1:ナノ粒子状態の物質を、製造、輸入または市場で販売する者は、定期的に行政官庁に、当該物質の同定情報(identity)、量、用途を報告すること。物質の同定情報と用途に関する情報は、Article L. 521-7に示された条件のもとで一般に公開される。当局は国防の利益を守るために必要な場合は先のパラグラフで示した条項を免除することができる。
  • Article L. 523-2:Article L. 523-1において言及した「製造、輸入または市場で販売する者」は行政官庁の要求に応じて、これらの物質の危険性と曝露可能性に関する利用可能なすべての情報を提供すること。
  • Article L. 523-3:Article L. 523-1と523-2のもとで収集された情報は、 Article L. 521-12で言及された監督機関とデクレ(法令)によって指定された機関が利用することができる。
  • Article L. 523-4:国務院の議決を経るデクレ(※法律と同等の効力を持つ)は、本章のArticles L. 523-1〜L. 523-3を施行するための条件を特定すること。