Andrew Maynard氏のブログ追っかけ

10月16日は教育用DVD"Talking Nano"の話

Nanoscale Informal Science and Engineering (NISE) Networkから発売された教育用DVD6本組"Talking Nono"の紹介(今見るとストックが切れているようだ)。

10月20日は最近にわかに盛り上がっている"Nanofoods"の話

BBC Radio 4のFrontiersという番組でNanofoodsが取り上げられた(番組はここから聞くことができる)。番組の後半は安全性の話になり、その中でRBC Life Sciences®社の"Slim Shake Chocolate"というサプリメントが取り上げられた。RBC Life Sciences®のKimberly Lloyd氏によると、製品には直径4〜6ナノメートルシリカ粒子である「ココア・クラスター」を含んでおり、これらはチョコにフレーバーを与える分子でコートされている。つまり、表面積が大きいことによって、ダイエット中の人たちが避けたい成分の量を減らすことを可能にしたのだ。さらに、シリカ粒子は凝集体ではなく、分散状態であるとのこと。アモルファスシリカ食品添加物として使われており、用途によってはFDAからGRAS(Generally Recognized As Safe)(=いわゆる毒性データは不足しているが、長年ヒトが使用してるために安全だと考えられるもの)と認定されているが、食品に使われるシリカのナノ粒子は凝集体だ。Maynard氏は、FDAがナノ粒子の扱いに関するガイドラインを制定し、規制の網から落ちてしまうのを早急に防ぐべきだと提言。

10月26日は、次期政権の科学技術政策に必要な5つの理念の話

大統領選挙の直前。科学技術政策については、Science誌の論説、Arthur Caplan氏の提言、Woodrow Wilson Centerによる勧告、Center for the Study of the Presidencyによる勧告などで議論されているが、こういった科学技術政策の基礎となる上位目標についての議論は少ない。そこで、5つの目標を考えてみた。1)科学に基づく意思決定を促進せよ、2)社会的なチャレンジの解決を志向した研究項目を作成せよ、3)科学研究の支持者を増やせ(つまり、研究の成果を一般の人々に伝えることで、彼らに自分たちに関係あるものと捉えてもらい、興味を持ち、支持してもらい、さらには研究プロセスへの参加を促す)、4)批判的思考を育てよ(エビデンスに基づく決定ができるように)、そしてこれらすべての基礎にあるのが、5)"civic sicentists"を育てよ(市民の中に飛び込んでいく科学者、という意味か、科学技術に通じた市民という意味か?あるいは両方か?)

10月31日は、カーボンナノチューブの「アイデンティティクライシス」の話

Maynard氏が下院の科学委員会で証言したのがちょうど1年前。その1周年を記念して(?)EPAがCNTsを新規化学物質でありPMNの提出が必要であることを明言した。EUのREACHでも、CNTsは炭素やグラファイトとは別にCNTsとして登録の必要があることになった。しかし10月31日時点で、(Maynard氏が1年前の証言のためにネットで購入した)Cheap Tubes Inc.のウェブサイトを見てみると、MSDSに「この材料はTSCAインベントリに載っている」と書かれている(※今もそのまま)。

11月5日は選挙疲れの解毒剤として5冊の素晴らしい本の紹介

複雑な社会の中で科学をどうやって賢く使っていくかについて読者を啓蒙する5冊は以下のとおり。

これらに共通しているのは、科学が社会に役立つために必要な3つのことに正面から取り組んでいること、すなわち、謙虚さ、偏見のないオープンな心、新しい情報に照らして進んで方針を変える勇気。読んでみなくちゃ。