Andrew Maynard氏のブログ追っかけ

11月6日は、ナノテクノロジーと化粧品の話

UKの消費者団体であるWhich?の報告書"Small Wonder? Nanotechnology and Cosmetics"(この報告書は以前ここで詳細に取り上げた)。Maynard氏の評価は「非常に優れた報告書」で「読め」とのこと。Maynard氏は報告書の最後の10点のアクションプランを引用している。

11月9日は、どうして賢い人たちがマヌケなことを信じてしまうのかの巻

前に取り上げた5冊のうちの1冊、"Bad Science"についてもう一度。科学情報を生み出したり、解釈したり、使ったりしている人はこの本の第12章は必読。著者が挙げた5つの罠は;

  1. ランダムノイズなのにそこにパターンを見出してしまう。
  2. 何もないのに因果関係を見てしまう。
  3. 所与の仮定について、それに合った情報を過度に重視してしまう。
  4. 所与の仮定について、それに合う情報を探し求めてしまう。
  5. 新たな証拠の質を評価するとき、すでに持っている考えからバイアスを受ける。

11月11日は、オバマ政権のもとでの科学の話

Telegraph紙にSir Paul Nurseが書いたオピニオンに全く同意(というか付け加えることもない)とのこと。

11月11日はもう1つ、ナノ材料を新鮮な目で見るの巻

ここでは、Royal Commission on Environmental Pollution(RCEP)の報告書が取り上げられている(この報告書は以前、ここで詳細に解説した)。Maynard氏が取り上げた点は、1)functionalityを重視した点、2)研究の優先順位を付けるべきだという点、3)不確実性下での意思決定には順応的管理が必要だという点。そして最後に、イノベーションのペースがどんどん上がる中で、リスク管理にも革新的なアプローチが必要だというまとめ。

11月13日は、合成化学の教訓を合成生物学に生かすという話

11月14日のお昼に開催されるPENとCenter for American Progress共催のイベント"Synthetic Biology: Coming up Fast!"の紹介(イベントの様子はビデオで全部見ることができる)。登場人物は、Denise Caruso氏("Synthetic Biology: An Overview and Recommendations for Anticipating and Addressing Emerging Risks"を書いたところ)とRick Weiss氏。この対談をより楽しむためには、1年前に、Nature Chemical Biology誌に載ったYeh and Lim (2007)を読んでおくとよい。21世紀初めの生物学は、150年前の化学と似た状況にある。つまり、観察から合成への過渡期だ。その帰結がどうなったかはみなさん御存知のとおり、社会に大きなインパクトを与えた。もちろんプラス面だけでなくマイナス面も。
ところで、"Synthetic biology"の定まった日本語訳はあるのだろうか。ちょっと検索してみると、「構成的生物学」と「合成生物学」が見つかったけど。日本じゃまだ知られてないんだろうか?

11月15日は、ナノテクノロジーと緊急G20サミットの話

ワシントンDCで開催されたサミットの1週間前にDubaiで、World Economic ForumのSummit on the Global Agendaが開催された。ここでの共通テーマは世界的な課題に対して、技術による解決を目指すこと。そして、経済危機の中で「イノベーション・パイプライン」を持続させること。投げかけられた問いは、1)世界の現状は?そして経済危機が与える影響は?、2)現状を回線するために何をすべきか?誰がすべきか? ナノテクノロジーについても、簡潔に論点がまとめられた文書が出ている。2ページなので必読。何をすべきかについてのところだけ、箇条書きで引用。

11月19日は、なんとMaynard氏の13歳の娘、Bethanyによるブログ

Stephanie Meyerの小説「トワイライト」シリーズ1作目を映画化した映画「Twilight」を見に行きたい娘に、映画チケットと引き換えに、「Twilightと新規技術の関係」について感想文を書いてもらったMaynard氏。娘といっしょに映画を見たそうだ。Twilightはamazonで検索するとたくさん訳本が出ているのにびっくり。知らなかった。映画の公式サイトはこちら

11月23日は、ICONデータベースに分析ツールが追加された話

ICONの提供するEHSデータベースが分析ツールを追加した。nanoEHS Virtual Journalのadd-on機能で、これでいろいろ遊ぶことができる。その中でちょっとしたバグを発見。指摘したところ、作成者のKulinowski氏からコメント。
ICONデータベースは2006年にスタート、2008年のこの更新で分析ツールが追加され、次回を今考え中とのこと(おそらく論文や情報の重要度を示すためのレイティングシステムが追加されることになるだろう)。