サンスクリーンにおける酸化亜鉛を巡る動き

非常にややこしいので自分用に整理。まず、2月あたまに、スウェーデンの医薬品庁(Medical Products Agency)は酸化亜鉛の粒子をUVフィルターとして使用したサンスクリーンを販売していた10社に対して製品の販売禁止を命じた(ニュース)。この措置は、そもそもEUレベルで、酸化亜鉛のUVフィルターとしての使用が認められていないことを根拠としている。UVフィルターとして認可されている物質は"Cosmetics Directive 76/768/EEC"(pdf)のANNEX VIIに挙げられている。また、化粧品の成分はCosIng(Cosmetic Ingredients & Substances)で検索することができる。"Zinc Oxide"で検索すると、認められた機能(functions)としては、膨化・皮膚保護・UV吸収の3つだけしか書かれていない。Scientific Committee on Consumer Products(SCCP)は2003年に「酸化亜鉛に関する意見」、2005年に「サンスクリーンに使用される酸化亜鉛に関する声明」、2007年に「化粧品におけるナノ材料の安全性に関する意見」を発表してきた。そして、2009年1月16日、SCCPは再び意見(2005年の意見の明確化)を求められ、1月21日に"Clarification on Opinion SCCNFP/0932/05 on Zinc oxide (COLIPA n°S76)"(pdfで5ページ)を発表した。ここで、ナノサイズの酸化亜鉛と非ナノの(=100nmを超える)酸化亜鉛とを区別し、UVフィルター用途では、後者(非ナノ)は安全だと考えられると回答した。これだけではいわゆる「サイズ効果」を認めたものとは言えず、ナノサイズの酸化亜鉛については依然として安全性を証明するための情報が不足しているということである。最初に引用したスウェーデンのニュースでは「ナノであるかどうか」には触れられていなかった。SCCPの意見を受けてEUレベルでの規制内容が今後変更されればスウェーデン政府の決定もまた変更されるのだろうか?また、サイズ効果ではないにしても、これが、ナノか非ナノかという区別で規制される初めての事例になるのだろうか?
ちなみに、CosIngで「二酸化チタン」を検索すると、認可された機能としては、着色・乳白・UV吸収に加えて、UVフィルターが挙げられている。この文脈では、二酸化チタンについては、ナノか非ナノかは問題になっていないようだ。