Andrew Maynard氏のブログ追っかけ

12月13日は、「Twitterで科学技術コミュニケーションが可能か」実験の結果報告

新しいもの好きなMaynard氏は、12月8日〜12日の5日間、Twitterで毎日5回ずつメッセージを流すという実験を行った。科学技術コミュニケーションにTwitterは有用かどうかがテーマ。Twitterは1回に付き140文字しか入らないのでちゃんとメッセージを伝えることができるのかという疑問があったんだけど、やってみた結果、楽しかったとのこと。これ以降、Maynard氏の2020 ScienceにはTwitterのサイドバーがつき、けっこうな頻度でtweetしている。いた。ナノブログ界隈ではTwitterが流行のようで、TNTlogのTim Harper氏もだし、ICONもEHSニュースをTwitterで配信を始めた。

12月15日は、Maynard氏が仕切る"MINChar Initiative"の紹介

"MINChar Initiative"とは、「ナノマテリアル・キャラクタリゼーション・イニシアティブのための最低限情報(Minimum Information for Nanomaterial Characterization Initiative)」の略。MINCharはもともと2004年に開催されたワークショップ(「ナノスケール材料の毒性学的交互作用の評価のための実験的アプローチを開発する」)に端を発している。毒性学者は以前は分子式と濃度という2つの情報だけで仕事をしていた。しかし、ナノマテリアルの有害性はそんな単純ではないってことが明らかになってきたけれど、どの物理化学的パラメータが決め手になるのかはまだよく分かってない。そんな中で実現不可能な長い物理化学的パラメータのリストを見せられても困ってしまうので、ナノマテリアルの毒性研究には最低限これだけは必要だよねというリストを作ることが最初の目的。このためにMINCharが結成され、2008年10月末に2日間のワークショップ(「ナノ毒性研究における適切な材料キャラクタリゼーションを確認する」)が開催された。詳しくは次のエントリに。

12月17日は、Synthetic biology(合成生物学)のプロジェクトが新たに立ち上がったという話

Woodrow Wilson Internatinal Center for Scholars(WWICS)は、"Project on Emerging Nanotechnologies (PEN)"に次ぐ、新たなプロジェクト"Project on Synthetic Biology"を立ち上げた。PENの実績から考えても展開が楽しみだ。資金の出所はAlfred P. Sloan Foundationで、Hastings CenterJ. Craig Venter InstituteとWWICSの3機関で160万ドルとのこと。欧米でのpress coverageをチェックした報告書が紹介されている。Synthetic biologyは日本ではあまり紹介されていないし、ましてや社会的側面の研究なんてまだ誰も始めてないと思う。

12月18日と20日は、オバマ政権の科学アドバイザーにJohn Holdren氏が就任という話。

オバマ政権の科学アドバイザーにJohn Holdren氏が就任するというニュースが流れた。その後、12月20日オバマ氏の口から直接就任のお知らせがあった(youtube)。Holdren氏は、"President for Science and Technology"の補佐官、ホワイトハウスの"Office of Science and Technology Policy"のトップ、そして"President’s Council of Advisors on Science and Technology (PCAST)"の共同議長を務めるとのこと。Maynard氏はこの人事に対して「オバマ政権は科学技術に本気だ」と書いている。

12月24日は、「社会的に意味のある科学技術」のためのマニフェストという話。

5年前の2003年、ハーバード大学Sheila Jasanoff氏は「謙虚な技術」という論文を書いた(pdf)。技術の進歩とその有効なガバナンスの間のギャップがどんどん拡大する中で、"can-do"志向から"should-do"に基づくアプローチに変えていくべきだと主張する。ふとしたことでこの論文を読み返してみたMaynard氏は、あまりにも今日の状況、そしてオバマ政権の課題とフィットしていることに驚いた。クリスマス休暇にぜひ読んでおけ!とのこと(もう3ヶ月経ってしまってるけど…)。もともとは、Nature Nanotechnology誌に載った3本の論文(Kahan et al., Pidgeon et al. and Sheufele et al.)を読んでいたそうだ。