Andrew Maynard氏のブログ追っかけ

1月28日は、ジオエンジニアリングとジオエシックスの話。

ちょうどニュースや記事が重なったということでジオエンジニアリングの話。1つ目は、インドとドイツの科学者による大規模ジオエンジニアリング実験が2月始めに開始されるという話(リンク)。これはLOHAFEXというプロジェクトで、6トンの鉄を南大西洋の300平方キロメートルに撒いて、藻類の成長を促し、CO2を固定するのが目的。ちなみに、もともと環境保護大臣やドイツ政府から反対されていたこのプロジェクトはその後失敗に終わったようだ(リンク)。鉄によって繁殖した植物性プランクトンをカイアシ類が食べてしまい、炭素は食物連鎖に入ってしまったとのこと。2つ目は、気候変動対策として提案されている様々なジオエンジニアリングプロジェクトについて「放射強制力ポテンシャル」という共通指標で効果を定量評価するという提案(リンク)。結果は、効果のあるプロジェクトは、成層圏エアロゾルを播く案と機械的に雲を作りアルベドを増やす案だけだった。3つ目は、Nature誌に載った論文で、CROZEXという別のプロジェクトの結果の解析から、海洋に鉄化合物を播くと確かに大気中のCO2を固定するが、想定よりもずっと少なかったことが分かったという報告(リンク)。ジオエンジニアリングにはジオエシックスが必要になるだろう。

2月1日は、「市民のための科学者」の話。

NSFのトップでクリントン政権の科学アドバイザーだったNeal Lane氏をフィーチャー。"civic scientist"の重要性を強調した。"civic scientist"は「市民科学者」ではなく「市民のための科学者」という感じ。Maynard氏が強調していることは、科学者や技術者はレクチャーするだけでなく、市民の声を聞き理解すべきという点。つまり、一方向からの流れでなく、双方向の対話が大事。

2月2日は、ナノテク入門ビデオを作成の話。

講演をする機会の多いMaynard氏は、箇条書き中心の普通のプレゼンスタイルから、新しいスタイルに移行中。その成果の1つが、過去に作ったスライドをもとに、MacBook ProKeynoteを使って作成しYouTubeにアップされたこれ。とにかく、Maynard氏は、サイエンスコミュニケーションのためのベストな方法を貪欲に探し続けている。

2月5日は、Sir Robertありがとう!という話。

この日フィーチャーされているのはSir Robert Winston氏。英国では有名な科学コミュニケーターだそうだ(「優秀な科学者になることだけでは十分でないのはなぜか」参照)。この日のテーマも、市民への教育だけでなく、市民の参加が大事という話。市民に教えてやる、という発想しかない科学者がどうもMaynard氏のまわりに多いらしい。